新たなるトランスフォーム<変身>は
リベンジから始まる! トランスフォーマー/リベンジ
<TRANSFORMERS:REVENGE OF THE FALLEN>

 個人的評価 50点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★★★ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎ロボット度   ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


「コンボイ、行きまーーす!」 <個人的感想>
2作目で派手になる、というシリーズはよくありますが、1作目の時点ですでに十分すぎるほど派手だった『トランスフォーマー』が、本当に、さらに派手になって帰ってくるとはビックリです。まあ、「マイケル・ベイならそれぐらい当然」とも思ってはいましたけどね(笑)。
ただ、前作とは力の入れる所が違うだけともとれるような感じで、もしかしたら、見た目の豪華さ賑やかさ自体はそれほど変わってないのかもしれません。
前作は、人類とトランスフォーマー達のファースト・コンタクトという段階だったせいか、このロボット生命体がどんな連中なのか(どんなロボットであり、どんな宇宙人なのか)、という方向の見せ場が多かったような気がします。なので、映画自体も、どちらかと言うとSF超大作映画風味になっていました。
ですが、今回はトランスフォーマーがどういうものなのかをみんなが知っている事が前提になっているので、例えば、変形シーンを見せ場として使ってなかったり、前作で紹介済みの脇役ロボットの描写が少なかったりするんです。
そして、今回は前作では控えめだった「トランスフォーマー同士の対決シーン」をメインに持って来ていて、いよいよもって「ロボット映画」の様相を呈してきました。そう、今回は“SF映画”ではなく“巨大ロボット映画”になっているわけですよ。
人と同サイズのロボットの映画はこれまでも色々ありましたけど、巨大サイズのロボットの映画なんて、ハリウッドメジャーでは多分初なんじゃないかと思うんで、見ていてかなりの新鮮味を感じられたものでした。やってる事は前作とほとんど同じなんですけど、まるでジャンルが違うかのような印象があるんですよね。
その変化に合わせての変更なのか、どうも、前作よりもアクションが見易くなってたような気がしました。臨場感を出す為に画面を揺らす等の小細工が減って、代わりに、よりダイナミックな印象が残るように考えられたような映し方が、アクションシーンになされていたような気がするんですよね。
それのおかげなのか、前作よりも「見終わった後の疲労感」が少なめになったんじゃないかと思います。正直、前作は、画面内の動きのあまりの慌しさに、初鑑賞後はかなり疲労してしまいましたからね。

また、ストーリー面もスッキリしたような感じでした。前作は事件に関わる多くのグループの描写が交互に出てくるという事で、話があっちやこっちに飛びまくってましたけど、今回は「サムのグループ」「オプティマス&軍人グループ」「敵グループ」の3箇所にしか分かれてないんで、かなり見易かったです。
ただ、見易いといっても、何しろマイケル・ベイなんで、相変わらずかなり強引かつ乱雑にストーリーが展開していく事となりますけどね(笑)。でも、この「超攻撃型」または「パワー型」と形容出来そうなこの人の演出は、「作家性」の域に達してると思いますね。そして、観客の気持ちを昂らせるような、興奮・燃えシーンの見せ方は、もはや神業級だと思います。
また、今回も「謎の人脈の多さ」と「顔の広さ」を如何なく発揮し、軍関係の協力はもちろん、ピラミッドやら遺跡やらでの撮影許可まで得られてしまったようで。きっと、ベイが『天使と悪魔』の監督だったら、ヴァチカンでの撮影も許可されたに違いない(「教皇がボクの映画のファンでね」みたいな感じで・笑)。
でも、軍が協力したくなる気持ちも分かりますよねぇ。今日び兵器や軍人がここまでカッコ良く、しかも肯定的に描かれる映画なんて、そう無いですからね。
もう一つ、アクション系映画としてかなり大事な要素である(と私は思ってる)、「クライマックスに最高のアクションシーンを持ってくる」というのを、毎回守ってるのも嬉しいです。
今回も、中盤にとんでもなく盛り上がる凄いアクションシーンが出てきて、「もう、これ以上の凄い場面なんて出てこないんじゃないか」と一瞬思ってしまったんですが、やはり、クライマックスではさらに上を行く超燃えシーンがちゃんと出てきましたからね。
しかも、意外にCGより実写アクション重視派の人なんで、大作映画でありがちな「クライマックスがCGまみれになって、イマイチ盛り上がらない」という事が無いのもいいです。いや、この映画のクライマックスもかなりCGにまみれてはいたんですけど、頼りすぎてはいないんですよね。
当初は、この人の作風は「ただ派手なだけなんで、すぐに飽きがくるかも」と思ってたんですが、自分の持ち味をさらに高めていく事で、誰にも真似出来ない、独自の技術を身につけた「大作映画界の巨匠」と呼べるような位置にまで来た感がありますね。

最後に、本編を見るまで予告等を見るのを一切絶っていたせいか、ほぼ全てのシーンに驚きがあったものでしたが、中でも一番驚いたのは、シャイア・ラブーフの異様なまでの身の軽さでしたね。去年の『インディ4』を見た時も思ったんですけど、もしかしたら本当にこの人は物凄いアクションの才能を秘めているんじゃないだろうか(ただ、アクションヒーローが似合う顔つきじゃないんですよね・笑)。

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人生は過酷である、ゆえに美しい。 レスラー
<THE WRESTLER>

 個人的評価 35点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★★ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★★☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎プロレス度  ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


「必殺!
ラァァム・ジャァーーームッ!!」 <個人的感想>
予告編を見た時の雰囲気から、『ロッキー・ザ・ファイナル』みたいな内容の映画かと思っていたんですが(「老いたレスラーが、奮起して最後の試合に臨む」とか「疎遠になっていた子供との距離を縮めようとする」とか)、実は、全く正反対と言ってもいいぐらいの内容でしたね。何しろ、ポジティブな雰囲気が全然無かったですからねぇ。『ロッキーF』は、見終わった後に元気になるような映画でしたが、こちらは、見終わった後に心身共に老いたような気になるという、かなりネガティブな印象の映画でした。

主人公は、「生涯をプロレスに捧げてきた」と言えば聞こえはいいですが、「自分の好きな事だけやってきた」ともとれるような人生を送っていまして、そして、その「自分の人生そのもの」ともいえるプロレスから引退する事となってしまいます。
で、その原因となったのは、「老い」ではなく、「心臓の障害」でした。多分、心臓が何の問題もなくとも、近い内に引退する日がくるとは考えていたんじゃないかと思いますが、その時が思ったよりも早く、しかも突然やってきてしまいました。
さて。そこで、人生の全てとも言える仕事から離れて、違う人生を模索しなくてはならなくなるわけですが、まず、疎遠になっていた娘との関係を修復しようと試みる事になります。
ここからの主人公の人生模様は、とても共感の出来るもので、「このまま、楽しい第2の人生が始まってくれれば」と願っていましたが、事はそううまくはいきませんでした。
何故うまく行かなかったのかと言うと、ぶっちゃけた話、努力が足りなかったんですよね。本当は、プロレスに全てを捧げてきた男の不器用な生き様と悲哀的なものを感じなきゃいけない所だと思うんですけど、どうにも、面倒事を投げ出して、自分の好きな道に進んでいるだけのような思えてしまいました。
で、この辺りの展開から、何故か『バンコック・デンジャラス』を思い出してしまいましたねぇ。全然違う映画なんですけど、主人公が、「天職から足を洗い、新しい生き方を目指そうとするものの、なんだかんだで、結局ダメだった」という流れは共通なんですよね。
そして、あちらはアクション映画なので、その主人公の選択に関して特にどうとは思わなかったんですが、こちらは人間ドラマ映画なので、まあ色々と思うところが出てきてしまうわけですよ。
特に、かつて、娘を放っぽっておいた理由が、具体的には語られなかったものの、まず間違いなく「子育てよりもプロレス(=自分の好きな事)を選んだから」だという辺りと、その罪滅ぼしにまんまとしくじった辺りには、「何だ、このダメ人間は」とか思ってしまいます。
こんな事を思ってしまうのも、多分、この映画を見る数日前にレンタルで見たある社会派サスペンス映画の影響なんじゃないかと思うんですよね。それが、「自分の楽しみを優先して、子育てをほぼ放棄したバカ親」というのが出てきて、こういう輩はもはや社会問題だなと思わせるような映画だったもので、その流れで、『レスラー』の主人公も同類のように思えてしまったのかもしれません。
そして何よりも、私自身が、普段、努力の足りない生き方をしているもので、ドラマ映画の中でこういう奴を見ると、まるで自分を見ているようで嫌な気分になってくるんですよね。これは、映画のせいではなく、間違いなく自分に問題があるせいですけどね(笑)。

という訳で、最終的には主人公に共感出来ないという方向に行ってしまったものの、映画自体は非常によく出来た人間ドラマだったと思います。
「見終わった後、心身共に老いてきそうだ」という印象もありましたけど、これも、私自身が老いを実感するような年齢に達してから見たら、ストレートに心に沁みてくる味わい深さがありそうな感じがしたものでした。
そして、“プロレス”というものの裏側が垣間見られたのは非常に興味深かったです。元々私はプロレスはもとより、格闘技全般に対して興味は無いんですけど、このプロレスという格闘技、何と、試合前に対戦者同士が「試合をどういう感じで進めていって、どっちがどうやって勝つのか」というのを打ち合わせしているんです。
で、私はこれを見て「何だ、やらせなのかよ」とガッカリするほどの興味すら持っていない為に、むしろ、このやりとりが、アクション映画のメイキングを見てるみたいな感じに思えたんですよね。例えば、『ラッシュアワー』のDVDのメイキングで、ジャッキーがセットに来て、スタントマン達とその場でアクションの振り付けを決めていく、という場面があって、そのあまりのプロフェッショナルな様子にいたく感動したんですけど、この『レスラー』での試合前の打ち合わせから、それと同じ「プロらしさ」を感じたんです。あの短いやりとりで、観客を熱狂させる試合を演じられるというのは凄い事なんじゃないのかと。
結局、ミッキーが毎回勝つのも、実力ではなく、人気の都合で勝つことが試合前から決まってるというわけなんですけど、これも、「アクションヒーローが常に勝利する」というのと変わらないですからね。実はプロレスと言うのは、格闘技と格闘アクション映画の中間にある、エンターテイメント・ショーといった感じのものだったんですね(ただ、観客の方もそれを分かって見ているのかどうかが気になってしまいました)。
あと、レスラー同士の仲間意識というのも実に清々しくって、大変好印象でした。試合中はあんなに傷付け合い殴り合いをしていても、楽屋ではお互いのファイトを称えあったりしてるというのは素晴らしいと思います。
ドラマ面も良かったですけど、このプロレスの世界の裏側が興味深くて面白かった映画、という印象でしたね。

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最大の敵こそ、真実。 ザ・スピリット
<THE SPIRIT>

 個人的評価 45点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★☆☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★☆☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎サミュエル度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


「サミュLおじさんと、お医者さんごっこしよう♪」 <個人的感想>
『シン・シティ』のフランク・ミラーが、あの映画と同じような手法でコミック映画を撮り上げた、というものです。
『シン・シティ』の時は、「モノクロの中に一部カラー」というものでしたけど、今回はモノクロではなく、「色を落としたカラー」もしくは「微妙に色のついたモノクロ」みたいな感じになっていて、多少の違いはありましたけど、やっぱり斬新かつ新鮮な面白い映像表現でした。

『シン・シティ』では、その映像表現から、「映画を見てるのに、コミックを読んでるような感じがする」という感覚があったんですけど、今回は、コミックではなく、「古の、テレビの連続活劇ものを見てるような感じがする」という感覚がありました。
映像は、新鮮ながらもどこか古さを感じさせるような所もあるうえに、演出が何かそういう感じになってるんですよね。多分、『デス・プルーフ』みたいに、「昔の映画の雰囲気を再現しようとした」という思惑があったんじゃないだろうか(勘違いだったら申し訳ない)。

もう一つ『シン・シティ』と違う点として、「まるでコメディ映画のような、軽妙で洒落た雰囲気」というのがありました。てっきり、またダークで渋い感じの映画なのかと思っていたんで最初ちょっと戸惑いもありましたけど、割と早めにこの雰囲気に慣れる事が出来ました。多分、サミュLのとっつぁんがノリノリの演技で現れたのを見た辺りからだったと思います(笑)。
それも、悪ノリというわけではなく、この映画の持つ「一見、渋い雰囲気の映画なのに、そこを敢えて崩して、喜劇調な雰囲気を盛り込んでいる」という、独特なノリにうまく沿うような感じの、かなり絶妙なサジ加減の演技なんですよね。「さすがプロだなぁ」と唸ってしまいましたねぇ。
あと、出てくる度に衣装と髪型が変わっている辺りも非常に素敵でした。ここも見せ場(と言うか、笑いのポイント)の一つになってるんですけど、もう、「明らかにコスプレ」という扮装で出てきたりしましたからね。
ついでに、サミュLの部下役のスカーレット・ヨハンソンも同じように、出る度に違うコスチュームなんですけど、意外にも、セクシー系の衣装がほとんど無いんですよね。エヴァ・メンデスの方は「これでもか!」というぐらいのセクシー衣装なのに。セクシー担当はメンデスに一任して、ここは敢えて抑え目で行くという作戦なんでしょうか。
でもこの、まるで能ある鷹が爪を隠してでもいるかのような雰囲気には、「あからさまにお色気を出してくるよりも、むしろこっちの方が興奮しますな」、なんて思ってしまいました。
あと、サミュLの部下にはもう一人、「いつもニコニコしているデブ」というのがいるんですが、これが何故かクローン人間で何人もいるんですよね。しかもみんな妙にニコニコしてるんです。
その笑顔といい頭の悪さといい、見事なまでの「愛すべきキャラ」っぷりを出していましたねぇ。この悪役軍団のユニークさはたまらなかったです。

そんな、イカした悪役に負けないぐらい、主役のスピリットもいいキャラでした。一見、「カッコいい二枚目ヒーロー」なんですけど、実は限りなく三枚目に近い二枚目といった感じなんですよね。
最近のコミックヒーローはシリアスなのが主流ですけど、「コミックヒーローのイメージ」と言えば、元々こういうタイプだったんじゃないかなと思うんですよね。なので、見ててしっくりくるものがあるんです。
演じてるのはガブリエル・マクトという、明らかに主役級じゃない人ですけど、かつて『9デイズ』で「メイン・キャストで、唯一、まともなアクションが出来ていた人」という事で印象に残っていました(まあ、周りにまともに動ける人が他に誰もいなかったというだけの話なんですが・笑)。ただ、まさか、それから7年後に主演で帰ってくるとは思ってもみませんでしたね。


どこで誰が、未来を変えたのか? ターミネーター4
<TERMINATOR SALVATION>

 個人的評価 50点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★★ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★★☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎ロボット&火薬度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


「あちちッ!」 <個人的感想>
前作は、シリーズの監督・脚本を務めていた生みの親であるキャメロンがノータッチとなったものの、シュワが続投していたり、話の展開が過去2作の流れを汲んだ雰囲気のものになっていたりしました。
ですが、今回はキャメロンもシュワもいないうえに、内容も大きく変わってきているという、いよいよ完全な別物になってきました。でも、これはいい意味での“別物”で、新たなシリーズの幕開けといった感じがあって良かったと思います。
また、ストーリーは『3』からの続きになるんですけど、同時に、一作目の過去の話(過去と言うか、カイルから語られた未来の出来事ですけど)も描かれているという、プリクェル的な面白さもある内容になってるんですよね。
まず、ジョン・コナーがまだ人類の救世主という立場まで来ていなく、世界中の同志から尊敬と信頼を集めてる最中だったり、若き日のカイルが出てきたり、T−800が世界に初登場した瞬間や、それ以前の旧式ターミネーターが現役で活躍している姿が見られたりと、まさに、これまで1度も映像にされてない、想像するしか無かった時代の話が描かれていくわけです。

今作で敵として主に出てくる連中は、どれもT−800よりも旧式のマシーンなわけですけど、“旧式”なんて言うと、何かロボコップみたいなスローリーで打たれ弱いのが出て来そうな感じがしますが、実は、「むしろ、T−800が一番地味なんじゃないか」と思うぐらい、強烈なマシーン軍団が次々と出てくるんです(“実は”と言っても、もうそのほとんどは予告編で姿を出してましたけどね)。
で、そのマシーン軍団のビジュアルといい戦闘力といい、もう、見てて「燃えずにはいられん!」と思うぐらいの素晴らしさなんですよね。特に、巨大ロボットはもう文句無しでした。まさかこのシリーズであんなのが出てくるとは思っても見ませんでしたからね。あと、コイツの脚から射出されるバイク型マシーンも実にカッコ良かったです。
そして何よりも素晴らしいのは、こういったマシーン軍団がただ単発で登場するだけではなく、ちゃんと、主要キャラを襲って、アクションシーンを発生させてくれるところです。
そのアクションシーンの見せ方もかなりダイナミックでしたし、マシーン軍団もあまりCG臭さを感じさせない映し方がされてましたし、爆破シーンも大量に出てくるしと、ことアクション度の高さに関してはシリーズでもダントツに高かったですね。その点だけでも、「過去のシリーズに劣らない傑作」という評価を与えるに相応しいと思ってしまいます。

ですが、多分、本来は『2』で完結してるはずだったところ、ヒットシリーズだからという事で無理矢理シリーズが続けられてるという状況だと思うんです。『3』も『4』も蛇足と言っても過言ではないような立場にいる映画だと思うんですけど、何だかんだで、きちんと話の繋がった続編としても、アクション大作としても申し分無い完成度の映画になってるんだから凄いです。
しかも、しっかりこの『4』で完結しないようなストーリーになってるんですよね。「ここまで来たら、また続きが見たい」と思わせるような内容なんです。うまく作りやがりますねぇ。

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なぜ挑むのか スター・トレック
<STAR TREK>

 個人的評価 39点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★★ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★★☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎シリーズ入門度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


ボクの特等席♪ <個人的感想>
『スター・ウォーズ』と双璧をなす、超有名SFシリーズですが、私は過去のシリーズを一作たりとも見た事がありません。以前、シリーズを制覇してみようかと企みかけた事はあったんですけど、あまりにもシリーズが多すぎるんで、一本も見る前に挫折してしまいました。
そんな折、カーク船長(シリーズの中心人物的キャラクターと思われる)の若い頃を描いた、言わばエピソード1風の内容になっている映画が出てきたんです。まさに入門編にはもってこいの内容じゃないですか。
で、「これで私も『スター・トレック』の世界に入っていけるのか」と思っていたんですけど、どうも、映画を見てみて、いまいち、入り込みづらいものを感じてしまいましたね。「何か、私向けの映画、と言うか、シリーズでは無かったのかも」なんて事を思ってしまいました。
もちろん、面白い事は面白かったんですけど、多分、私が今回感じた面白さよりも、本来はもっと面白く感じられる映画のはずだと思うんです。では何故、そんな事になってしまったのかというのを考えてみた所、「自分が昔、SF映画が苦手だった」というのを思い出してしまいました。
もう10年近く前の話ですけど、当時は、SF映画を見ても、他のジャンルの映画よりも、どことなく面白さが伝わってこないような感じがあって、見終わった後の満足感が低いと感じる事が多かったんです。
ただ、慣れたのか克服したのか、そういう苦手意識というのも気付いたら感じなくなっていました。でも、どうやら、まだどこかにちょこっと残っていたのかもしれませんねぇ。
どの辺りが苦手なのかを具体的に言いますと、“宇宙”とか“宇宙船の内部”“未知の惑星”みたいなのが舞台として出てくると、何か、ちょっと居心地が悪いような感じがしてくるんです。何と言うか、想像力の及ばない範囲の話みたいな感じがしてしまうんですよね。
多分、アクションシーンが多く出てきてくれると、そういう苦手意識も感じずに、普通に楽しめるんじゃないかと思うんですけど、今回、派手な艦隊戦だとかビームの撃ち合い、チャンバラといったアクションがちょっとしか出てこなかったんです。
ただ、その分、魅力的なキャラクターによる、面白いストーリー展開というのが出てきていました。だからこそ、私もそれなりには楽しむ事が出来たんですけど、ここでもちょっと気になる所がありまして。
「固定ファンの多い長寿シリーズであり、それを自分はリアルタイムで見てこなかった」というのが原因だと思うんですけど、どこか、「これはファンの為の映画」という、“壁”のようなものに阻まれているような感じがしてしまうんですよね。これは『ロッキー』シリーズにも感じてるものなんですけど(『ファイナル』にはその壁を感じなくって、私でも純粋に楽しめたんですけど)、劇中で「お馴染みのキャラ達の掛け合い」とかを見てると、何だか、「友達の家に遊びにいったら、自分と面識の無い、その友達の友達が大勢来ていた」という状況みたいな感じになってくるんです。
皆さんが、お馴染みの話題で楽しくやってる所を、離れた所から寂しげに見ていて、「もしかしたら、お邪魔だったかしら?」みたいな事を思ってしまう、というのと同じような疎外感を映画から感じてしまうんですよね。
もちろん、監督・製作のJJは、私みたいな、シリーズ初心者にも向けて作っているはずで、実際そういう映画になってるはずなんですけどね。まあ要するに、私がひねくれてるだけという話なんでしょうな。

運じゃなく、運命だった。 スラムドッグ$ミリオネア
<SLUMDOG MILLIONAIRE>

 個人的評価 38点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★★ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★★★ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎イン度     ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


スラムドッグはこんな高い所もへっちゃら <個人的感想>
実に感動的なラブストーリーでした。
ストーリーの概要だけを見ると、貧乏脱出のサクセスストーリーにも思えるような面がありますし、私も本来はラブよりサクセス系の話の方が好きなはずなんですけど、でも、この映画はこれで完璧だったと思いますね。
あと、こういう感動話に、実在のクイズ番組が大きく関わっているというのが非常にユニークで面白いです。と言うか、この部分こそがこの映画中一番面白い点だったと思いますね。
ちなみに、元の番組の日本版(みのもんた司会による)は私はほとんど見た事が無いんですけど、全く見た事が無いわけではないので、「どういう内容の番組なのか」というのは知っていました。
ルール的な面にはとくに目新しい感じもしなかったですし、自主的に見ようと思うほどの面白さも無かったんですけど、ただ、雰囲気は凄くいいなと思ってたんですよね。みのの「ファイナルアンサー?」から「正解!(または「残念!」)」までの間が異常に長いのはかなりめんどくさかったですけど(笑)、スタジオのセットとか照明、背景で流れるBGMなんかがクールでいいなと思っていたんです。
で、その番組を見て思った面白さというのが、映画からもちゃんと出ていたんですよね。例の「ファイナルアンサー」から正解かどうかが告げられるまでの間の曲も、かなり緊張感を高めてくれる感じのもので、思わずドキドキしてしまいます。もう、正解になるのは分かってるのに。
そうそう、主人公の青年が、もうクイズを全問正解したというのが前提でストーリーが進むのかと思っていたら、実は最後の一問は次の日に挑戦する事になるという状況だったのは意外でしたね。この「正解なのかどうか」という面の緊張感と面白さは映画には絡んでこない要素なのかと思ったら、まさかクライマックスで出てくるとは。
しかも、この時点ですでに、「別に不正解でも悔い無し」みたいな状況にはなってるんですよね。ほんと、どっちに転んでも感動のラストが待ってるみたいな感じで。でも、ここまで来たら全問正解して欲しいとも思いますし、もはや全国民の期待を背負ってるという状況にもなっているわけなんで、実にドキドキさせられるクライマックスでした。ここでみのみたいな引き伸ばしを司会者が使って来なくて良かったです。

さて。主人公ジャマールがクイズを次々に正解出来たのは、たまたま、それまでの過酷な人生の中で経験していた中に答えが隠されていたというような問題が出てきていたからなんですが、それを“運命”に結びつけるというスピリチュアルな感じはいいですね。“運命”と“感動”は相性がいいですからね。
ですが、ジャマールの他にもスラムで暮らしていた子供は大勢いたのに、何故、ジャマールだけが運命に味方されたんだろう、なんて事を思ってしまいました。兄のサリームや、「歌の上手い子供の乞食」として働くハメになった昔の知り合いとジャマールの違いは何だったんでしょう。
と、考えてみたところ、やっぱり、そこはジャマールが「無欲」だった事が関係してるんでしょうね。そして純粋に「愛」のみを追い求めたからこそだったんでしょう。クイズ番組に出たのも、賞金を求めての事ではありませんでした。
で、私も「こういう報いがあると分かってれば、禁欲に生活する事も出来るかもしれんのにな」とか思ったんですけど、こういう事を考えてるような奴には運命は味方しないんでしょうなぁ。何だか、夢があるようで夢の無い話にも思えてしまいます(笑)。

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ガリレオの暗号が、ヴァチカンを追いつめる。 天使と悪魔
<ANGELS & DEMONS>

 個人的評価 50点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★★ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★★★ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎「前作より分かり易い」度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


「オレがトム・ハングドン教授だぜ」 <個人的感想>
前作を最初に見た時は、話が忙しすぎて初見時には面白さがあまり伝わらなかったんですが、原作を読み、2回目に吹き替え版を見る事でストーリーへの理解も増し、その面白さをようやく理解する事が出来ました。
で、その時の反省を活かして、今回は「すでに原作読了済み」で、しかも吹き替え版を見るという戦略で臨んだ為(ついでに、前作の原作&映画版も復習)、もう一発目から最大の面白さを引き出して見る事が出来ました。
ですが、ここまで頑張って準備しなくとも、製作側の方も前作の反省点、と言うか、評判の悪かった点を上手い具合に改良してきていたんです(トム・ハンクスの髪型が変わったのも、きっと改善点の一つなんでしょう・笑)。
まず、前作は、長い原作を圧縮したような脚色みたいな感じで、悪い意味で急ぎ足な展開という、少々窮屈な印象があったんですけど、今回は“圧縮”ではなく“カット”という脚色がなされてるような感じでした。また、登場人物も数を減らしたり役割を変えたりなどの微調整がなされて、より、「エンターテイメント映画として機能するように」という配慮がなされているかのようでした。
そのおかげで、話もかなり分かり易くなりましたし、展開にもスピード感が出て、非常に見易い映画になりました。
そして何よりも、主人公ラングドン教授のヒーロー性がより強調されてるような感じがあって、まるで、『ナショナル・トレジャー』や『インディ・ジョーンズ』のような、アクション・アドベンチャー映画を見てる時に近いような興奮が得られるような映画になっていたんです(もちろん、こちらにはアクションシーンは無いですけどね)。
「謎を次々解いていく」というのは前作でもそうだったんですけど、今回の方が謎の解き方に説得力がある気がするんですよね。まず、ラングドンがいかに博識であるかというのをしっかり描写していますし、謎を解く所でも「これがこうだからこうなんだ」みたいに、きちんと説明をしてくれるんで、前作で感じられたような「置いてきぼり感」が無いんです。むしろ、ラングドンが謎を解いていくシーンは、アクション映画で主人公が強さを発揮するような、「ヒーロー大活躍シーン」のように思えるんです。
あと、演じるトム・ハンクスも見事にハマってましたね。この2作目でいよいよ「宗教象徴学者ロバート・ラングドン」というキャラと完全にシンクロしてみせたというような印象でした。もしかしたら、これまで見てきたトム・ハンクスの中で、今回が一番カッコ良かったんじゃないかと思います。

原作が存在する映画の場合、先に原作を読んでいると物足りなさが出るという事が多いんですけど、この映画はそういう思いが全くありませんでしたね。変更された部分も、ほとんど「上手い変更」と思えるようなものでしたし、何よりも、その相違点を探すのもまた面白かったりするんですよね(中でも一番良かった変更点は、ヒロインのマッチョ度が大分抑えられていて、ほとんど邪魔にならなかったという所ですね・爆)。
ただ、娯楽面が強化された一方、テーマ性、ストーリー性の部分が多少犠牲になった感があって、原作ほど「科学と宗教の対立の根深さ」というのが表現されてなかったような気もしました。それに、原作では、科学と宗教、両方に“良い面”と“悪い面”がある、というのがバランス良く語られていたような気がしたんですけど、映画版は、宗教の“良い面”が何も語られてなかったように思うんですよね。あと、事件の黒幕が、何でこんな手の込んだ連続殺人を仕組んだのかという点にも、あまり納得のいく説明が無かったような気がします。
でも、映画を見終わった後は、「科学にしろ宗教にしろ、結局は人間がそれをどう扱うのかで良くも悪くもなる」という事はしっかり感じられました。科学も宗教も、どちらも天使の面と悪魔の面が内包されているという事なんでしょうね。そして、ラングドンの活躍によるアドベンチャー映画的快感もしっかり残りましたし、鑑賞後の満足感・幸福感はかなりのものでありました。久々に、「上映期間中に、もう一回見に行きたい」と思わせてくれる映画でしたね。


人類の運命を握る男
謎の女を連れて、地球を横断する。 バビロン A.D.
<BABYLON A.D.>

 個人的評価 40点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★☆☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎マッチョ度   ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


「ディーゼル様のお通りだい!」 <個人的感想>
たまたまなのか敢えてなのか、内容が『トゥモロー・ワールド』に結構似てましたね。『トゥモロー・ワールド』と言えば、その内容よりも、超絶長回しアクションシーンが有名ですが、残念ながら、この映画にはそういう気合の入った演出はありませんでした。
ですが、代わりに、ヴィン・ディーゼルが超強いんですよ。この、「主演のアクション俳優が超強い」というのは、「見た事も無いような驚きの演出が登場する」のと同じぐらい、いや、それ以上に有り難いものだと私は思っているんで、正直、『トゥモロー・ワールド』よりも面白かったです(2回、3回と見ていったら逆転するかもしれませんが・笑)。
そんな、超強いヴィン・ディーゼルが、2人連れの女をアメリカまで護送するという話なんですが、これが、ヴィンほどの猛者に頼まないといけないぐらい、「遠くの国に移動する」というのが困難な世界になってるんです。
劇中、時代設定に関する話が全然出てこなかったんで、何年後の世界なのかがよく分からなかったんですけど、まあ、いわゆる「近未来」が舞台なわけです。で、たいがい近未来というのは荒れた世界になってるものじゃないですか。なので、この世界観を何の疑問も無く受け入れてしまったせいか、今思うと、「結局、この映画の世界では、何で荒れた近未来になってるのか」という理由が分からないんですよね(笑)。何か説明があったような気もするんですが・・・。まあ、核戦争があったとか、きっとそんなようなものなんでしょう。
ただ、「そこらじゅうに暴徒がいる」とか、そういう感じではないんですよね。思えば、そういう“その辺をウロついてる危ない連中”の襲撃を受けるというシーンは無かったような気もします。でも、アクションシーンは定期的に起こるんですよね。で、その度にヴィン・ディーゼルが大活躍を見せてくれるんですよ。ついでに、護送してる女の一人がミシェル・ヨーだったりするんで、アクションシーンが始まると、この人もカンフーを使って暴れだしたりするんです。それも、去年の『ハムナプトラ3』はおろか、もしかしたら『トゥモロー・ネバー・ダイ』の時以上に暴れていたかもしれません。
何故か、「結局、何が危険だったんだろう」とか「どういう世界の話だったんだろう」というのが思い出せないんですけど、見てる間は全てしっくり行ってたんですよね。でも、「マッチョが主演で、定期的にアクションシーンが発生するという、とても面白い映画だった」という印象は残っているんで、きっと何の問題も無いに違いない。

今回のヴィン・ディーゼルの役柄ですが、「やさぐれた危険な男だけど、根はいい奴というアンチヒーロー」という、いつも通りの役柄です。
これも、毎年見てたら飽きてきてるところだと思いますけど、何しろ久々でしたからねぇ。04年の『リディック』以来ですよ。しかも、その間、マッチョが主役のアクション映画自体が少な目だったんで、もう「待ってました!」みたいな感じでしたね。
で、最初はかなりワルの部分が強かったんですけど、ストーリーが進むごとに、どんどん“イイ奴”の部分が強くなっていくんです。面白いのは、その変化に合わせて、衣装もどんどん爽やかな感じのものになっていくんですよね(笑)。最後なんて、白いポロシャツみたいなの着てましたからね。
こういう、細かい面白い部分というのが結構あって、近未来を感じさせる描写にも「これは!」と思うようなものがありました。特に、“地図”が物凄くクールでしたねぇ。一見ただの紙の地図なんですけど、手でスクロールや拡大・縮小をする事が出来るうえに、「パラッ!パラッ!」と、ページを捲ってるような効果音が鳴ったりするんです。
あと、人の記憶を再生出来る装置があったり、無人戦闘機が襲ってきたりというハイテクさがありながら、そこかしこに、現代の目で見ても古臭いと思うような乗り物が平気で稼動してたりするのも面白かったですね。
アクションシーンでも、無人戦闘機との対決シーンとか、ヴィンが自分を狙って来てる追尾ミサイルをどう防ぐかといった辺りの見せ方なんかは、かなりカッコ良かったです。ただ、残念ながら、アクションシーンは全般で、基本的に見辛い映し方がされてるんですよね。まあ、今の流行の演出ですけど。現役K−1ファイターとヴィン・ディーゼルとの対決シーンなんかもあったんですが、何が起こっているのかイマイチよく分かりませんでした(「ヴィン・ディーゼルの方が強い」というのだけは雰囲気で伝わったんですけど)。

さて、実はこの映画、「もし、聖書の知識があったら、何か見えてくるものがあるんじゃないか」というのが感じられるんですよね。
まず、ヒロインがどこかマリア様を彷彿とさせるような役割を持っていたりしますし、敵が宗教団体ですし、ストーリーに宗教色が入り込んでいるのが見てとれるんです。私の聞きかじりの知識でも「これは何かを象徴してそうだぞ」と思うような面が所々にあったんで、神学に明るい人が見たら、私には見えないテーマや何やらが読み取れるのかもしれません。
でも、そういう教養のある人がこの映画を見ても、ヴィン・ディーゼルのマッチョな活躍に素直に熱狂出来ない気もするんで(爆)、結局、この映画を本当に楽しめるのはどっちなんだろうな、なんて思ってしまいます。


暗殺成功率:99%

完全無欠の暗殺者、ジョー。
唯一のミスが、全てを狂わせていく。 バンコック・デンジャラス
<BANGKOK DANGEROUS>

 個人的評価 40点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎クールなニコラス度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


うわ、何かこっち見てる・・・! <個人的感想>
引退を考えてる暗殺者が主人公、というのは、スタローンの『暗殺者』を思わせる設定ですね。でも、あちらは暗殺シーンがあんまり無かったですけど、この映画では、舞台となるバンコクで4人殺す依頼を受けてるという事で、暗殺シーンも多く、より「暗殺者の映画だ」という感じがします(それでどっちが面白いのかというのはまた別の話ですけど)。
殺す手段も、遠くからの狙撃から、一気に近づいてマシンガンで蜂の巣にして逃走など多彩なうえ、計画を練るシーンも少し出てきたりするのが面白いです。それほど練られた計画という気はあんまりしないんですけど(爆)、そこは、演出とニコラス・ケイジの演技でもってそれらしく見せてくれるんで、「いかにもプロの技だ」というふうに感じて見る事が出来ました。
この、ニコラス・ケイジの演技から感じられる「プロっぽさ」は実にクールでしたね。『ネクスト』の時みたいな、あの顔に似合うとは思えない髪型をしているにも関わらず、今回は「ちょっと笑える」という雰囲気が無いんですよね。
それに、体型がスマートだからなのか、アクションの動きにシャープさが感じられるんです。なので、アクションシーンが全般でカッコ良かったですね。やっぱり、アクションが似合う人が主演のアクション映画はいいものだなぁとつくづく思います。

冒頭の暗殺のシーンにおいて、「狙撃銃のスコープから見た、標的の映像」というのが出てきましたけど、ここで引き金を引いたら、スコープに映っている人の一生が終わるというわけで、この時点で、その人の命運を完全に握っているという状態になっているわけですよ。そんな、人の命をどうこうするような立場には、正直、なりたくないと思ってしまいますよね。
ですが、そうやって何人もの人の命を奪ってきた一人の暗殺者が、「この仕事から足を洗って、堅気になろう」と試みようとするわけです。ですが、果たして、人殺しを生業としてきた男が、普通に生きられるのかどうか。
で、この面を描くに当たって、「一目惚れした薬局の店員との恋愛話」というのが入ってくるわけなんですけど、それまで渋いヒットマンの話だったのが、急に流れが止まったかのようなラブラブモードになってしまうというのは、ちょっと、どうなんだろうと思ってしまいましたねぇ。
結局、この恋愛が上手くいかなかった事を通して、「やっぱり、普通には生きられない」みたいな話になっていくんですけど、何か、他のエピソードでこれを表現出来なかったものかと思わずにはいられません。
ほんと、アクション映画に恋愛のパートって邪魔なだけとしか思えないんですけど、しょっちゅう入り込んでくるんですよねぇ。例えば、恋愛映画にアクションシーンが入り込んできたら違和感があるし、邪魔だとみんな思いますよね。アクション映画における恋愛シーンもそれと同じだと私は思うんですけど、きっと、少数意見なんでしょうねぇ、ちくしょうめ。

さて。暗殺者ニコラスは、今回のバンコクのヤマを最後の仕事にしようと決めていたからなのか、これまで自分に課していたルールを破ったりと、プロらしくない事をし始めていきます。その中で上記の恋愛話も出てくるんですけど、さらに、これまでなら始末していたであろう、現地で調達した運び屋アルバイトの青年に対して、「弟子として技を教える」なんて、血迷ったとしか思えないような行動にも出てしまいます。
この辺の心変わりの理由とかを、それほど詳しく語ってくれないんで、その心理がイマイチ掴めないんですけど、どうも、「昔の自分を思い出させるような目をしていたから」というのが理由の一つとしてあるようでした。 その青年は、町でポン引きをしていた所を捕まえたという、普通の映画なら脇役にすらならないようなキャラの奴です。それが、ニコラス師匠に鍛えられるうちに、心身共に立派に成長していくんですよね。しかも、その修行シーンに組み手が入っていたりするんで、一瞬、カンフー映画になったのかと思ってしまいました。
でも、ここで習得した格闘術を使う機会が出てきたりするんですよね。“格闘アクション”は、娯楽映画に必要な要素の一つですけど、暗殺者の映画でこういうシーンが出てくるというのは予想外のラッキーでした。そもそも、主人公が弟子を鍛えるシーンが出てくるという時点で予想外でしたからね。この、弟子の成長のドラマが面白かったりするんで、つい「恋愛話を削って、こっちをもっと掘り下げて語ってくれれば良かったのに」と思ってしまいました。
でも、今改めて思い返してみると、この恋愛話もほのぼのとしてて良かったような気もちょっとしてきました。特に、ニコラスが苦手な辛いものを食べてヒーヒー言う所とか、微笑ましくていいシーンだったかな、なんて。


コーエン兄弟×豪華キャスト共犯! バーン・アフター・リーディング
<BURN AFTER READING>

 個人的評価 22点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★☆☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★☆☆☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎豪華共演度  ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


ホンダのCMのひとコマ <個人的感想>
いやぁ、何ともスッキリしない映画でしたねぇ。まあ、元々そういう内容の映画ではあるんですけど。
何と言うか、脚本は物凄く良く出来てると思うんですけど、面白くは無いんですよね。いや、「ここは面白いな」と思うような点もあったりしたんで、正確には“楽しくなかった”と表現すべきでしょうか。

何で楽しめなかったのかというのを考えてみたところ、豪華キャストが、それぞれ個性的なキャラクターを演じてるわけですけど、何か、登場人物達に人間性が感じられなかったように思えたんですよね。“意思を持った人間”よりも“脚本家の駒”みたいな感じで、登場人物達が、自分の意思ではなく、脚本家の都合で動かされてるように見えるんです。
でもこれ、他の全ての映画(ドキュメンタリー以外)に当てはまる事のはずじゃないですか。でも、他の映画を見てもこんな事思ったりはしません。それが、何故かこの映画では、登場人物が操られでもしてるかのように思えてしょうがないんですよね。それこそ、人の運命を勝手に操作してるみたいな感じがして、コーエン兄弟に対して「神にでもなったつもりか、こんちくしょうめ」とか思ってしまいます。こんな事言われても、コーエン兄弟にとっては、理不尽なクレーム以外の何物でもないですけどね(笑)。

結局、私はコーエン映画とは相性が悪いという所に落ち着くんでしょうかねぇ。
今回、コーエン映画が大好きなコアな映画ファン以外の層が大挙して劇場に押し寄せそうなキャスティングがなされてるじゃないですか(私もその層の一員なんですが・笑)。なので、一般客を意識して、これまでよりも多少は敷居の下がった内容になってるんじゃないかと期待してたんですけど、いつも通りのよく分からない映画でしたねぇ。まあ、「事件の真相を全て把握してる人が誰一人いない」という、「“よく分からない”がテーマの映画」みたいな内容ではあったんですけどね。

でも、もしこの世に『オーシャンズ』シリーズが無かったら、ブラッド・ピットとジョージ・クルーニーが共演してるというだけで「有り難い映画」という位置付けに来ていたはずなんですよね。『オーシャンズ11』の時は、まさに「夢の共演」と言うべき組み合わせだったんですから。それが、もはや共演しているだけでは満足出来ないんですから、観客とは我が儘なものですな。
まあでも、この2人がそれぞれ、初心に帰ったような懐かしいイメージのキャラクターを演じて共演しているというのは新鮮で面白いものでしたけどね。
ブラッド・ピットが最初に評価を受けた『12モンキーズ』での頭のイカれた男の役も、今回のバカ役と多少近いものがありますし、確か『トゥルー・ロマンス』でもジャンキーだかなんだか、そんなような役で出てたはずです。
一方、ジョージ・クルーニーも、『ER』での女たらしの小児科医役で有名になったわけで、今回の不倫エロ男役はむしろ原点回帰みたいなものですよ。
という訳で、この2人の演じるキャラクター自体は、見てて非常にしっくり来るものがありましたし、キャスティングに関しては満足だったんですけど、ただ、この2人がどう行動し、どう物語に関わっていくか、という面にはどうにもしっくり来ないものがあったんですよねぇ。


誰も見たことのないジャッキー・チェンがここにいる。 新宿インシデント
<新宿事件>

 個人的評価 38点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★★ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎悲劇度    ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


ジャッキー&モビット <個人的感想>
新宿の裏社会でのヤクザの抗争の話なんて、1ミリも興味が無いんで、「私が見て面白い映画じゃないんだろうな」と思っていたんですが、これがまた、見てて感心するぐらいの、それはよく出来た映画だったんですよね。やはり、映画は見てみるまで分からないものなんですなぁ。
ただ、ストーリーの半分を占めるヤクザの社会の話は、やっぱり、どうしても好きになれない話題なせいか、あんまり面白くありませんでした。「主人公が、裏社会でのし上がっていく」というサクセスストーリー的な面は良かったんですけどね。
ですが、ストーリーのもう半分を占める、不法移民の話というのは、物凄く興味深かったです。テレビのニュースとかだと、どうしても外側からの描写になってしまうんで、実情がいまいち実感出来ない所があるんですけど、不法入国者である主人公の目線で、日本上陸から、どこでどう生活をして、どう生きているのか、というドラマを語ってこられると、感情移入して、自分も当事者になったかのように思えてしまいます。
正直、今までこの件について特に考えた事も無かったですし、こういう不法に入国した外国人が「犯罪をやらかしました」みたいな話はよく耳にするんですけど、対岸の火事みたいな感じでスルーしてました。でもこの映画を見て「自分が住んでいるこの日本に、こんな世界が現実にあったのか」と、ちょっとしたカルチャーショックを受けてしまいましたよ。
しかも、「本当に、不法入国者の生活って、こんな感じなんだろうな」と思うようなリアリティがあるんですよね。
リアリティと言えば、貧しい人が日銭を稼ぐというのを、他の国が舞台の映画で見る事がありますけど、その仕事で一日にどれぐらい稼げたのかというのが、他の国だとよく分からないんですよね。「いったい、日本円にして、どれぐらい稼げてるものなんだろう」と。それが、この映画ではハッキリ「一日6千円」とか出てくるんで、非常に分かり易いです。

そういう、貧しい境遇にいる中国人の仲間達が、ある一人のリーダーの導きと頑張りによって、歌舞伎町を支配する大きなグループになっていくんですが、みんな、急に手に入った「金と権力」に魅入られてしまい、根こそぎダークサイドに転落していく様は実に恐ろしいです。
ですが、そのリーダーだけは、最初から最後までナイスガイなんですよね。みんなで仲良く転落するのではなく、頑張った張本人のみが、信じていた仲間達から裏切られてしまうんです。この悲しさと辛さといったらないですね。
そして、最後は悲劇的なラストへと突き落とされていく事になり、映画を見終わった後は気持ちが沈むような悲しさと苦さを味わう事となります。でも、大きな運命の渦に巻き込まれた人々の話のように思えて、壮大な物語を見終えたような、ちょっとした満足感のようなものもあったりするんですよね。

で、もちろん、我等がジャッキーがこのナイスガイのリーダーを演じてるわけなんですけど、見る前は、「今までと違う姿を見せたかった」という、カンフー&スマイル封印のジャッキーにはかなり不安を覚えていました。
ですが、見てみたら、何の違和感も無いんです。それどころか、「何だ、いつものジャッキーと変わらないじゃないか」と思えるような存在感を放っているじゃないですか。よくよく考えたら、いつものジャッキーと変わらないのは、「善人を演じている」という点のみなんですけど、この一点が共通してるだけで、いつものジャッキーを期待して見ても不満を感じる事が無く、いつもと全く雰囲気の違う映画に違和感無く溶け込む事が出来ているわけですよ。
てっきり、アクションとコメディを封じられたら、かなり厳しい事になるんじゃないかと思っていたんですけど、もはや、そんな事を思っていた自分が恥ずかしくなってくるぐらいです。まったく、今世紀に入ってから、この人には何度驚かされていることか。さすがマイ・ヒーローです(マイ・ヒーローなら、最初からもっと信頼しろ・笑)。
ただ、またジャッキーが「実年齢より、大分若い設定の役を演じてるらしい」という辺りには、ここを突っ込むのは無粋と思いつつも、違和感を禁じ得ませんでしたけどね(笑)。幼馴染が、娘と言っても通用するぐらいの歳でしたからねぇ。

という訳で、ジャッキーの今後の可能性について明るい面を感じさせてくれた映画であり、また、これまで知らなかった日本の一面を垣間見られた映画という事で、楽しくは無かったものの(爆)、見て良かったと思える、いい映画でした。

ちなみに、序盤の方で、ジャッキーと友人が銭湯に入る場面がありまして、そこで、先客のヤクザがジャッキー達を見て「(中国人がうろつくようになって)この辺も物騒になってきやがったなぁ」みたいなイヤミを言うというシーンを見て、吹き出しそうになってしまいました。体中イレズミだらけのお前が言うセリフかと(笑)。


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