それにしても、この終盤の展開は燃えましたねぇ。冒頭で、「この家族がどれだけ仲が良くて平和な一家だったのか」をイヤと言うほど見せてきていて、そんな愛する家族を一気に失ったわけですから、見てるこちらとしても絶望と悲しみを感じずにはいられない展開のはずなんですけどね。でも、怒りに燃えるベーコンを思いっきり煽って撮ったりするものだから、悲しみよりも興奮の方が先に来てしまいます。
で、ここから本当に別人(鬼神とも言えるかも)と化すベーコンの気迫の漲りっぷりは、見てて怖いぐらいでしたね。
そして、ワクワクせずにはいられない「銃火器お買い物シーン」を経て、「説明書を見ながら銃の扱いをマスターするシーン」、「バリカンで丸刈り」「銃器装備」「出陣」のこの見事な流れ。これを見て燃えずにいられますかと(この際、ベーコンの体が傷だらけだというのも、主人公の鬼気迫ってる感が出て、実に良いです)。
その後、銃で武装したギャング団のアジトに一人で乗り込んで、敵を全滅させるという、アクションヒーローならば当たり前の事をやり遂げるんですけど、この主人公が「ついこの間まで単なる一般人だった」というのを考えると、ちょっと出来過ぎのようにも思えます。
でも、何しろ敵達とは、気迫も覚悟も殺気も、全てが違いまたしからね。所詮、連中は、仲間とつるんでイキがってるだけの単なるダニにすぎなかったという事ですかね。
あと、それだけでなく、このベーコン演じる主人公、もうアクションヒーローの神か何かが憑いてるとしか思えないようなラッキーを戦闘中に見せるんですよね。
この、怒りの狼モードになる前の段階からして、立体駐車場での戦いに勝利したり、狭い浴室で銃を持った男二人に襲われて生き残るなんていう、アクションヒーローじゃない限り、とても切り抜けられそうも無い局面を生き抜いたんですから凄いです。銃で撃たれても死なずに復活しましたしね(最後、その撃たれた場所である家のリビングに戻って来たというのは印象的でしたね。まるで、復讐を完遂する為に、何か大きな力によって少しの間生かされていたかのようです)。
敵の銃撃も、何発もかわしてましたけど、何か、実際は銃を当てるのは結構難しいらしいですね。ケビン・コスナーの『ワイルド・レンジ』も、至近距離でかなり撃ち合ってるのにほとんど当たらないみたいな銃撃シーンが出てきて、それが「リアリティがある」と評されてましたしね。
一方、ベーコンの方の銃撃はそこそこの命中率でしたけど、これは「主人公だから」なのか、それとも「ちゃんと説明書を読んで勉強したから」なのか(笑)。
最終的に、どうやら次男の方は助かりそうだ、という所で終わりましたけど、出来れば、この次男が、恋人もしくは妻を殺されて復讐の鬼になる『狼の死刑宣告2』を作ってほしいですね(成長した次男役は、今回のベーコンのような絶妙なキャスティングでお願いしたい)。で、今度はこの映画ではやらなかった要素である、「町のダニを掃除して回る」という面を入れて欲しいです。