カールじいさんの空飛ぶ家(ネタバレ感想)
先の感想で書いた「この映画の中で一番攻めてると思えたキャラクター」とは、そう、ワンちゃんズの事です。
まず、南米の秘境に犬がいる(それも、野生ではなく)というのが意外ですし、他にも色んな動物を出す選択肢がある中、今更犬というのも逆に驚きです。
秘境に犬が存在しているというのは、まあ、あの探検家が飛行船で一緒に連れてったからではあるんですけど、それだって、スタッフが「この映画に犬を出そう」と決めたからそういう設定になっただけの事ですからね。『ウォーリー』では、ゴキブリっぽい虫をウォーリーの友達として出すという、珍しいチョイスをしていましたし、今回だって、現地の珍しい動物を使う事も出来たはずなのに、敢えて犬ですよ。珍しくもなんともない奴らですからね。
ですが、その造形と動きがまた、見てて思わず「何だこれ!?」と言ってしまうような、リアルさとデフォルメ具合が絶妙なのか微妙なのか分からないブレンドがなされているんですよね。
『ボルト』の動物キャラは、外見こそアニメっぽいですが、動きはかなりリアルという作りで(『レミーのおいしいレストラン』のネズミもそうでしたね)、「ああ、動物の動きのリアルさを追求したんだな」とか思えるんですけど、この『カールじいさん〜』の犬って、動きも外見も、どっちもリアルでありながらデフォメルもされてるんですよね。
何か、今までのアニメ映画で見た事が無いタイプの造形といった感じで、見てて非常に面白かったですし、新鮮味がありました。ついでに、設定も実にユニークで、特殊な装置が付けられていて人間の言葉を喋る事が出来るというだけでなく、知能も人間並みになってるんですよね。犬が給仕やポーカーをする場面なんて初めて見ましたよ。いや、『ウォレスとグルミット』のグルミットはさらに本を読んだり日曜大工をしたりとかしてましたけど、ああいう、完全にデフォメルされた犬ではない外見の犬なんで、異様さが際立ってましたね。
主人公カールじいさんのドラマも面白かったですけど、こちらは、「模範的過ぎて、むしろ印象に残りづらい」という感じなんですよね。
なので、そのうちに私の脳内でこの映画が「家が飛ぶ映画」ではなく、「犬の映画」として記憶されるような気がしてなりません(笑)。
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