※点数は、独自の基準で弾き出したもので、その映画の「完成度」ではなく「どれぐらい好きか」を表しています。
ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
<MISSION: IMPOSSIBLE - GHOST PROTOCOL>
個人的評価 50点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★★☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎トム度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
シリーズごとに、それぞれ個性的な監督を起用する事で、1作ごとに違った面白さのあったこのシリーズですが、今回は、あの『Mr.インクレディブル』のブラッド・バードが起用されました。
『Mr.インクレディブル』は個人的にピクサー最高傑作の映画でしたし、全アニメ映画の中でもベスト3に入るほど好きな作品です。
実写映画は今回が初、という不安要素はあったものの、とにかく、「あの『Mr.インクレディブル』の監督が『ミッション:インポッシブル』シリーズの最新作を作る」というのは、もう期待せざるを得ない組み合わせでした。
ですが、まず予告編の段階で、過去のシリーズの予告を見た時のようなワクワク感がほとんど感じられなかった辺りでまた不安がぶり返し、で、実際に見てみたら、「まあ、面白かった」という程度のもので、ガッカリしてしまいましたね。
今回のストーリーは、国家反逆者の汚名を着せられ、IMFの後ろ盾が無い、孤立無援の状態で、真の敵を見つけ出すという、サスペンスフルなものなんですけど、実は、1作目も似たような話だったんですよね。
で、1作目の時は、裏の世界で名の知れたメンバーを密かに集め、CIA本部への侵入作戦を決行するという、まさに「不可能な作戦に挑む!」みたいな熱い展開になっていたんですけど、今回は、そこまで追い詰められてるという感じが無いんですよね。メンバーも元々揃ってますし(さらに1人増えますしね)、どこかからかいい装備も見つけてきてしまいますし。
確かに、「高層ビルの壁をよじ登る」というのは、CIAに侵入するより危険度が高いかもしれないですけど、「お前、こういうの得意なんだから、やれよ」みたいな感じでやる事になりましたしね(笑)。ただ、このアクションシーン自体は文句無しの凄いシーンではあったと思います。
と言う訳で、ストーリー面は、1作目と少々被ってるうえに、それから少々退化しているという感じなんですよね。
そして、もう一つ肝心な「アクション面」ですけど、この映画内でアクションのネタが被るという有様ですよ。前半の「イーサンが爆風をバックにダッシュ!」というシーンが、後に、背景を砂嵐に変えてまた出てきたり、またまたイーサンがダッシュでもって敵を追いかけるというシーンが、中盤と後半と2回出てきたりと、とにかくアクションのバリエーションが少ないんですよね。
この「アクションシーンのバランス」関連なんか、特に前作『3』が非常によく考えられて作られていた為に、余計に「今回はどうなってるんだ」と思ってしまいます。
と、何だか不満な面ばかりの映画のようですけど、もちろん、面白い映画ではあったんです。個人的評価の得点も満点を叩き出していますしね。ちなみに、この点数は間違いというわけではなく、採点してみたら、「満足度」以外の項目で高得点を出していたので、こうなりました(どうも、各項目及び得点基準が、完全に自分の好みを反映しているものではなかったようで、これまでも、好印象の映画が思ったより低い点になったり、印象のそれほど良くなかった映画が高得点になったりしたものでした)。
でも、これがシリーズ4作目であり、監督が『Mr.インクレディブル』のブラッド・バードで期待値が上がってしまっていた事や、ここ数年、『007』や『ボーン〜』シリーズなど、スパイ映画にこれまでとは違った面白さのある意欲的な映画が多かった事などから、どうしても、「これでは物足りない」と思えてしまったんですよね。
とりあえず、世間の評判が上々なのは幸いでした。こういう映画を「ガッカリ」とか言ってるアホ(しかも最高点をつけながら・笑)は私一人で十分ですからね。で、是非とも世界中で大ヒットして、5作目の製作もお願いしたいです。
コンテイジョン
<CONTAGION>
個人的評価 41点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★★☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★★☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎ウイルス度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
『アウトブレイク』以来のウイルスパニック映画の傑作!という感じの、とても楽しい映画でした。見てる間は「怖さ」や「嫌な感じ(悪い意味ではなく)」が主だったんですが、オチが個人的には溜飲が下がるものだったので、鑑賞後はとてもさわやかな気持ちになれたものでした。
世界規模のウイルスパニックを、色々な人物の目線から見せていく、群像劇風なスタイルの映画ですが、こと、ウイルスパニック物の映画の場合は、こういうタイプの方が最も効果的に思えますね。
ちなみに、「ウイルスを追う側」の視点で、スターを主演にした『アウトブレイク』も、何気に市民目線の場面も入れてたりするので、改めて、このジャンルの先発ながら、凄い映画だったんだなと思いましたね。このジャンル、最初に全てを網羅した決定版が出てしまった為に、後が続けられなかったという印象だったんですけど、ここにきてようやく立派な後続が出てきてくれました。
ただ、『アウトブレイク』から結構な年月が経ち、テクノロジーも進歩しているのに、こういう事態を防いだり、早く収束させる手段が未だに確立されてないようなんですよね。むしろ、交通手段の発達や、企業による森林伐採等の「未開の地の開拓」が進むおかげで、危険が増しているぐらいですよ。
そして、感染した人が凶暴になったり、ゾンビになったりするタイプの映画と違って、社会生活が半分は機能しているというのも、以外と厄介なところなのかもしれません。ゾンビ映画並の大パニックが起きているのに、まだ生存者が大勢いるばっかりに、「スーパーに立て篭もり」等の思い切ったサバイバルが出来ないんですよね。法が機能してるんで、こんな事やったら御用になってしまいますし。で、食料の配給に並んだり(しかも足りなくて貰えなかったりするし、貰えても暴徒に襲われて奪われる危険がある)、強盗や感染に怯えながら家の中でじっとしていないとならない毎日を送らないといけないわけですよ。
これはむしろ、ゾンビパニックよりもサバイバルしたくない世界ですよね。ワクチンが出来ても、それを自分が接種出来るようになるのが何ヶ月も後とかなったりするようですし。まあ、実際はゾンビがはびこる世界の方が恐ろしいんでしょうけど、現実に起こりうるのはこちらの方ですからね。
あと、現実にも起こりうる事態をシミュレーションしている映画で、ウイルスパニックに対する警鐘の意味もある内容なんですが、この映画を見て思うところがあったとしても、こういう事態を防ぐ手立てが無いというのも怖いところです。「人との接触を避け続ければいい」というわけにもいかないですし、今から完全自給自足の生活を練習し始めるわけにもいかないですしね。唯一、この映画から得られる「現実的に役立ちそうな事」は、「信憑性の無いネットの情報に振り回されるな」という事ぐらいでしょうかね。後は、こういう事態が起こらない事を祈るばかりです。
(ネタバレ感想有り)←読みたい人はクリックしてください
マネーボール
<MONEYBALL>
個人的評価 38点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★★☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★★☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎新理論度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
定期的に作られる、野球を題材にした映画ですが、今回は珍しい事に、選手目線でもなければ監督目線でもボール目線でもない、GM目線の映画です(いや、ボール目線の映画はまだ無かったか)。
で、このGMこと“ゼネラル・マネージャー”というのがどういう役職なのか、見る前はよく分からなかったのですが、正直、見てもいまいちよく分かりませんでした。選手の人事担当なんでしょうかね。球団内の「偉い順ランク」では、辺恒>オーナー>GM>監督>選手っぽい感じだったんですが、合ってるんだろうか(※辺恒はこの映画には出てきません)。
ともかく。このGMの主人公が属するのが割と貧乏な球団でして、しかも、前年で活躍していたスター選手が、他の金持ち球団からごっそり引き抜かれていってしまい、さて、どうするか。というところで、これまでの選手の評価基準とは一線を画す、「年俸の安い選手の中から、出塁率の高さで選んでいく」という、通称“マネーボール理論”で選手を集め、新シーズンに臨んでいく、という展開となっていきます。
要するに、これまでの、スカウトや監督等の長年の経験と勘でもってメンバーを選出していた所を、“計算”で適切なメンバーを導き出すというわけです。
これは、なんとも知的な感じがして面白そうなお話じゃないかと思ったんですが、でも、考えてみたら、この理数系でエリート的でデジタルな考えは、これまでなら、敵側やライバルなんかが使っていた手法のような気がするんですよね。こういう、頭でっかちな机上の空論的なものを、アナログで現場第一な脳筋が吹き飛ばすみたいな。思えば、私の好みもどちらかというと、そういう話の方な気がします。そっちの方が見てて燃えそうですし。
でも、この映画を見ていると、この「全て数字が解決してくれます」みたいな方法論を使う主人公側を自然に応援して見ているんですよね。劇中でも、昔ながらの、経験と勘を使った方法と、この新しい数字第一主義での方法で対立が起こったりするんですけど、もう、普通に「頭の固い奴らだぜ」とか思って見てましたからね(でも、対立してる側をブルース・ウィリス辺りが演じてたら、また違ってたかもしれないんですが・笑)。
これは、やっぱり、「どっちが少数派意見か」というので、見てる側がどっちに肩入れして見るかが決まるのかもしれないですね。何か、このマネーボール理論が浸透した後に、昔ながらの方法論でチーム再建を試みる話なんかを見たら、昔の方を応援しそうな気がします。
主人公のビリー・ビーンという、タイタニックでムーンウォークをしそうな名前の人物が、なんでこんな奇抜な方法を考えたのかと言うと、実は考えたのはこの人ではなく、ピーターという、いかにもな外見の大学出のオタクの方なんです。まあ、さらにその前に、選手経験の無い何かの職人だったかの人がそういう本を出していて、それを実践してみる事にした、という事なんですけど、では、なんで実践する気になったのかと言うと、ビリーには過去に、スカウトに騙された経験があったからでした。
まあ、正確には騙されたわけではないんですが、「君は才能がある!」と煽てられて、奨学金で大学に行けるのを蹴って、メジャー入りしたものの、結局、それほど才能があったわけではなく、泣かず飛ばずのまま選手を引退した、という過去があったんです。それで、そういう、当てにならないスカウト連中の勘ではなく、厳然たる事実である“数字”を使った方法に惹かれていったようなんですよね。
ちなみに、この数字第一主義というのは、選手をこれまで以上に“駒”として見る事になりそうな、人間味の無い手法のように思えますけど、でも、基準に使う数値が「打率や防御率等」から「出塁率」に変わっただけで、過去のやり方でも数字やデータは使っていたわけですし、劇中でよく出てきた「チームに必要なくなったと思った選手を切って、新しい選手を入れる」というのも、従来と変わってないはずなんですよね。「新しい手法」とはいえ、結局は、目の付け所が今までと違うというだけとも言えるんです。
では、本当にこの方法論は正しいのか、というのが気になる所なんですけど、どうも、この映画を見た限りでは、「メンバー選びの際の、選択肢の一つ」程度のもののように思えるんですよね。確かに、この方法で集めたメンバーで、20連勝という大記録を作っていくように、割と有効な手法ではあるようなんですけど、この映画が2002年の出来事のお話で、現在、これが主流になっているという話をこれまで耳にしてないところをみると、どうも、浸透はしていないのかな、と。
もしかしたら、今、この映画を作る事で、この理論をより広めていこう、みたいな裏の意図があったりするのかも・・・。
でも、このマネーボール理論では、従来ならば陽の当たらなかった選手や、何らかの理由で「欠陥品」と言われていた選手に利用価値が出てくるので、チームにとっては補強の際に選択肢が広がるわけですし、選手にとっても救済になるんですよね。この理論が無ければ無視されてたはずの立場なわけですし。
そして、この理論は、野球だけでなく、他の色々な分野にも応用出来そうなもので、原作は野球人には嫌われたものの、経済界では好意的に迎えられた、みたいな話もあるようです。自分の身の回りの何かも、見方を変えたら、新たな活用法が判明したりするかもしれないな、なんて事を思ったものでした。
パラノーマル・アクティビティ3
<PARANORMAL ACTIVITY 3>
個人的評価 41点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★☆☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎おわかりいただけただろうか度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
前作がイマイチだったので、あまり期待していなかったのですが、「『2』は残念な例外だったらしい」と思うぐらい見事な持ち直しを見せた快作となっていましたねぇ。ただ、劇中で起こる怪現象を見ながら、自然に「おわかりいただけただろうか」というナレーションが頭の中で自動再生されるような奴にとっては快作という話で、普通の人が見て面白い映画なのかどうかは分かりません(多分、つまらない映画なんじゃないかという気はする・笑)。
ちょっと前に公開した『インシディアス』と雰囲気が少々被っている感がある内容でしたが、この手の映画で効果的にPOV手法を使うと凄い、という事を、この『パラ3』を見て思いましたね。実のところ、前作や『レック2』で、「POVでの恐怖演出」の限界が見えたような気がしていたんですが、『インシディアス』よりも全般でこっちの方が面白かったですし、まだ可能性はありそうな感じですね。
さて。1作目では「家に“何か”がいる」という恐怖と面白さがあり、2作目では「若妻と女子高生が住んでいる家を覗き見る」という面白さがありました。そして、この3作目では、純粋に、怪現象そのものが面白い、という印象でしたね。起こっている事自体は前作までとあまり変わってないんですけど、見せ方、脅かし方が格段に良くなっていて、見てて結構怖かったです。
また、最初の頃は、全然大した事ない現象が時々起こる程度のものだったのが、時が進む毎に頻度も派手さもパワーアップしていくのも面白いです。この「段々と勢いを増していく」というバランス感覚は、1作目にあって2作目に無かったものだったような気がします。
それにしても、この悪魔だか心霊だかは何で最初から「ドカーン!」と驚かす方法を使ってこないんでしょうかね。徐々にビビらせて楽しんでいるのか、それとも、RPGよろしく、人を脅かす毎に経験値が溜まって「脅かしレベル」が上がり、終盤ではド派手な攻撃が可能になっている、という事なんだろうか。
あと、シリーズお馴染みの、何か怪現象が起こる時に使われる「ゴゴゴ、、、」という効果音も、効果音だけに、効果的に使われていました。
今回、中盤ぐらいまで使われてなくって、それまでは無音で怪現象が発生していたんですが、この音が使われる頃から、怪現象のレベルが上がって、より危険になっているんですよね。何か、色々と背景を想像させられる使われ方です。「一体、この音の正体は何なんだろう」と(そもそも、これは登場人物には聞こえてないものなんだろうか)。
中盤まで使われなかっただけに、最初に出てきた時は見てて興奮したものでした。「おいおい、あの音鳴ってんじゃん!」みたいな。それまでの地味目な脅かしから一転して、何か凄い事が起こりそうな期待感と恐怖感がありましたね。
シリーズを重ねる毎に話が遡っているストーリーですが、今回よりも前のエピソードは無さそうなんで、もうシリーズも打ち止めなんでしょうかね。出来れば『1』の後の話も見てみたい気はするんですが、迂闊に後日談を映画にしても微妙な失敗作が出来上がりそうな気もするんですよね。ここで潔く終わっておいた方がいいのかもしれません。
スクリーム4:ネクスト・ジェネレーション
<SCREAM 4>
個人的評価 39点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎同窓会度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
前作から10年以上振りの続編ですが、まず、このシリーズに4作目が作られたというのが驚きでしたね。確かに10余年前の90年代終盤には大ヒットしたシリーズですけど、『3』はそれほど当たったわけでも、話題になったわけでもないんで、順当に『3』で完結&終了したものだと思ってました。それに、このシリーズ自体、当時ヒットこそしたものの、続編を待ち望まれるほどの名作、という位置にはいない映画でしたし。
なので、最近の『ダイハード』や『ランボー』、『インディ』のような、「『3』で終わったと思っていたシリーズ、まさかの4作目登場」の流れで出てきたというよりは、「ネタが無いんで、過去のヒット映画をリメイクしてみました」という、リメイク系映画と似た立ち位置の映画のような感じですかね。実際、劇中でも、「続編映画」よりも「リメイク映画」に関する駄話が出てきていましたし。『2』の時の、「続編でありがちな事」の講釈を、劇中で登場人物が語るのが面白かったなぁ、というのを思い出したものでした。今回のリメイク映画に対する語りも面白かったです。ここぞというタイミングで「オリジナルにおかしな改変を加えるな」みたいな内容のセリフが出た時はニヤリとしてしまいましたよ。まあ、その改変がいい方に向く場合もありますし、改変しなさ過ぎのリメイクも問題なんですけどね。
ですが、今回の『4』は、別に1作目のリメイクではなく、ちゃんと、『3』から現実と同じ年月が流れた後の、完全な続編なんですよね。お馴染みの登場人物もまた出てきます。と言っても、3人だけですけどね。デビッド・アークエットとコートニー・コックスはあんまり変わった気がしなかったですが、ネーヴ・キャンベルは、当時が若かった分、「歳とったなぁ」と思ってしまいましたね(この人、このシリーズ以外姿を見ないんですけど、もう、「『スクリーム』シリーズ専属女優」になったんでしょうかね。『ラッシュアワー』シリーズでしか見ないクリス・タッカーみたいなものか)。
で、劇中で起こる事も、過去のシリーズと特に変わるところも無いんで、ほんと、同窓会みたいな雰囲気でしたよ。
さて。このシリーズは毎回(正確には『2』以降)、映画を見ながら真犯人を心の中で予想しながら、カスリもせずに外してきていたので、「今度こそ!」と思って真剣に考えていたにも関わらず、また、劇中で正体がバラされるまで分からずじまいでしたよ。
登場人物もそんなに多くないですし(しかも、話が進む毎に減っていきますし)、勘で分かりそうなものなのに、毎回当てられないのは何故なんでしょうね。もちろん、観客のそういう目を見越して、捻った脚本にはされているんでしょうけど、一度ぐらいは当ててみたかった。さすがに、このシリーズも今回で終わりでしょうから(ネタももう無いでしょうし)、当てておきたかったんですけどね。あ、でも、シリーズ物で流行の「エピソード1(または0)」系をネタにして、もう一本作れるかもしれないですね。では、その時の『5』(または『0』)でラスト・チャレンジといきたいところです。
カウボーイ&エイリアン
<COWBOYS & ALIENS>
個人的評価 36点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎クレイグ度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
何故か、このところ、宇宙人侵略物の映画が多いですが、中でも、「西部開拓時代を舞台に、カウボーイが宇宙人と戦う」という今作のネタはかなり異色で、興味深いです。しかも、この手の映画にしては珍しく、スター俳優が主演なうえに、ボンドことダニエル・クレイグと、インディことハリソン・フォードという、2大ヒーローの共演という豪華さですよ。
なので、「一体、どんな映画になってるんだろう」と思っていたのですが、フタを開けてみたら、何か、普通と言うか、手堅くまとまった映画という感じでしたね。取り立てて「ここが凄い!」という点も無いような・・・。
まず、カウボーイがエイリアンと戦うという面に関してですけど、科学力に圧倒的な差がありますし、しかも、この時代の人達にとっては、SF映画なんてものも無いんで、完全に未知の存在なわけなんですけど、あんまり「人類が初めて地球外の生物と戦った!」という感慨が沸かないぐらい、普通なんですよね。リアクションが薄いと言うのか。
あと、アクション面にもあんまり工夫が無くって、クライマックスもどこか単調な感じがしたものでした。そりゃ、カウボーイ側は、武器はショボい銃だけですし、移動手段も馬ぐらいしか無いんで、「馬上から発砲」「敵の攻撃で馬もろとも吹っ飛ぶ」ぐらいしかやる事が無いのは分かるんですけど、もっと、科学力の差を、当時ならではの戦略でカバーみたいな事は出来なかったんだろうか。
それが無理なら、エイリアン側の戦闘力を落として、早撃ち対決でもしてくれた方が盛り上がったような気がしてしまいます。
せっかく、B級感溢れるネタを、A級の予算とキャストで作る機会があったんだから、もっとハジけた内容にしても良かったと思うんですよね。
何か、この映画で唯一期待以上だと思えたのは、ダニエル・クレイグのカッコ良さぐらい、という印象でした。ハリソン・フォードと2枚看板という宣伝ですが、ハリソンの出番は思ったよりも少ないですし(中盤、ほとんど空気化してましたしね)、『インディ4』の時も思ったんですけど、アクションをやるには歳を取り過ぎてますよね。
一方のクレイグは、まだアクション盛りな年齢ですし、あの渋い雰囲気も、「謎の流れ者」という役柄にピッタリでした。それに、「腕輪からビームを出して戦う」という荒唐無稽な設定なのに、変なウソ臭さみたいなのは一切感じられない、「主演アクション大作をこなせる説得力と存在感」がしっかりありました。
ちなみにこの人、通常時もアクション時も、表情がほとんど変わらないという印象なんですけど、これって、かつてのシュワルツェネッガーを思い出してしまいます。シュワも、コメディの入らないアクション映画の際は常に同じ表情(無表情に近い)でしたからね。もしかしたら、クレイグも、無敵のサイボーグ殺人鬼役とか似合うのかも、なんて事を思ってしまいました。
キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー
<CAPTAIN AMERICA: THE FIRST AVENGER>
個人的評価 40点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎『アベンジャーズ』予習度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
いよいよ、『アベンジャーズ』メンバー、最後の一人の登場です。映画鑑賞前の段階で、この映画本編はもちろんの事、この次に控えているものにすでに期待をしているというのも面白い状況ですな。
さて。アイアンマンや、前回のソーは、映画を見るまで全く未知のキャラでしたが、今回のキャプテン・アメリカは、『X−MEN』や『シンプソンズ』のように、「昔、ゲームになっていたのをやっていて知っている」というキャラでした。もちろん、性格とかキャラ設定なんかは分かりませんでしたが、最近でも格闘ゲームに登場しているのを見掛けましたし、外見の雰囲気なんかは知っていました。
でも、その時の印象では、もっとガチムチしているマッチョな奴だと思っていて、クリス・エバンスが演じると聞いた時は、イメージに合わないと思ったものでした。ですが、本編での「ガリガリのモヤシ君が、謎の装置で一瞬でムキムキマンに変化する」というのを見ると、この人で合っていたんだなと思い直しましたね。何と言うか、この人にはどことなく、「最近鍛えてマッチョになりました感」というのがあるんですよね。勝手なイメージですけど。
そして、何を隠そう、私もかなりのレベルのガリガリマンなので、腹筋や腕立といった荒行をやらずに、短時間装置に入ってるだけでマッチョ化した主人公が羨ましくてしょうがなかったですね。実に夢のある設定ですよ。
あと、他のヒーローと比べても、単純な熱血漢系のキャラな所とか、マッチョ化前の外見のコンプレックスのせいで女性に奥手だという草食気質を持っている辺りも、非常に親しみやすさを感じさせてくれます。スパイダーマンのような、見ていて応援したくなるヒーローといった感じですね。
そして、戦闘スタイルやメイン武器が「盾を使う」というのもユニークで面白いです。元々、盾を効果的に使うアクションシーンというものに惹かれるものを感じていたので(『トロイ』とか『300』とか)、防御に攻撃に、そして時に飛び道具にと、多彩な盾芸を見せるキャップのアクションはほんと見てて面白かったですね。
あと、この“キャプテン・アメリカ”という名前自体も何か素敵です。“キャプテン”の後に、すかさず“アメリカ”と続くんですからね。なんてセンスだろう。もう、時々声に出して読みたくなるような力強さのある名前ですね、キャプテン・アメリカ。キャプテン・フランスとか、キャプテン・イギリスでは感じられない熱さがある名前だと思います、キャプテン・アメリカ。
ただ、実のところ、映画自体は「普通」といった感じで、『アベンジャーズ』映画の中では、『アイアンマン2』に並んでワーストかな、という印象なんですが、主役のヒーローの面白さ、カッコ良さでは『アイアンマン(1作目)』と並んでベストだったと思います。
ファイナル・デッドブリッジ
<FINAL DESTINATION 5>
個人的評価 45点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎デッ度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
早いものでこのシリーズもとうとう5作目となってしまいました。2作目ぐらいの段階で、「もうネタも続かないだろうから、この辺りで終わりだろう」と思っていたのに、まさかの長寿シリーズ化ですよ。
確かに、もはや1作目で全部やり尽くしていて、後はただシチュエーションを変えただけという、こと、目新しさや新鮮味は皆無のシリーズではあるんですが、まあ、ホラーのシリーズ物はだいたいそういうものですし、それに、無理に奇をてらったストーリーを出したりせず、ただシンプルに1作目の面白さをなぞっていくのみというのは、シリーズにとって、いい選択だったように思えます。
それに、何だかんだで、死ぬシチュエーションが違うというだけでも、それほどマンネリ感が無いんですよね。「何が最終的な凶器になるのか」には、当然、毎回それなりの捻りが加えられているんで、それを予想しながら見るのも面白かったりします。
そしてやっぱり、この映画のシチュエーションは、何か敵となる対象がいるホラー(殺人鬼やら悪魔やら)と比べて、とにかく怖いんですよね。普段の生活の中のあらゆるものが凶器になり得るという、鑑賞後にも後を引く怖さです。実は、私は未だ4作目を見ていなくて、『3』以来のシリーズ鑑賞だったので、このシリーズの怖さを少々忘れて油断して見に行ったので、余計に怖かったです。
さて。『4』を見ていない私にとって、今回が初の『“3D”ファイナルシリーズ』なんですが、時折、凶器やら死体やら肉塊等がこっち側に飛び出してくる描写があったりと、見世物としての3Dを意識した演出になっていて良かったです。まあ、2Dで見ても面白さやショック感はあまり変わらなかったと思いますけど、でも、オープニングクレジットの、色んな物が飛び出してくる映像は完全に3Dならではの面白さでしたね。
変に手入れをしないのがこのシリーズのいい所ですが、クライマックスでは、ちょっと趣向を変えて、別ジャンルの映画の怖さを出そうとしてきていましたね。でも、今回の場合、主人公が死の運命が迫ってきてるのに気付いていながら、心がタフなのか、何の対策もとろうとしないので、こういう変化球を出さないと、クライマックスで話が盛り上がらなかったような気もしましたしね。
何か、この主人公、諦めがいいのか度胸があるのか、それともただのアホなのか、「どうせどこにいても同じだ」とか言って、この映画の世界では超デンジャーゾーンである、“厨房”に働きに出たりするんですよね。お前は良くても、見てるこっちが怖いよ。危険な凶器の宝庫だろ、厨房なんて。
(ネタバレ感想有り)←読みたい人はクリックしてください
世界侵略:ロサンゼルス決戦
<BATTLE: LOS ANGELES>
個人的評価 38点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎地球防衛度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
『インデペンデンス・デイ』や『宇宙戦争』のような侵略物SF映画であり、海兵隊PR映画であり、そして、ゲーム『地球防衛軍』の映画化でもあるという、何とも贅沢な一品です。いや、『地球防衛軍 ザ・ムービー』というのは私が勝手に思っただけの事ですけど、でも、あのゲームに通じる熱さと面白さのある映画だったと思います。映画を見ながら、EDFコールを連呼したくなったものでしたよ。
さて。この映画における、他のこの手の映画と違う、今作ならではの面白い点として、まず、全てが海兵隊の一個小隊の目線でのみ物事が描かれている、というのがあります。『宇宙戦争』では「市民目線」でしたけど、それのおかげで世界規模パニック映画風味になっていましたが、今回は兵士目線という事で、『ブラックホーク・ダウン』みたいな、戦争映画風味になってるんですよね。全編市街戦というのも、『BHD』みたいですし。
ただ、レイティングの都合なのか、戦争映画につきもののグロシーンは皆無だったりするんですけどね。別に、グロは抑えてもいいんですけど、あまりにも抑え過ぎなのか、少々、ヌルい感じはしてしまいましたね。
なので、戦争映画として見るとかなり物足りないですけど、侵略物SF映画としてはかなりイイんじゃないかと思います。実は、これまでのこのジャンルの映画で、兵士目線のみの映画って無かったんじゃないかと思うんですよね。それも、前線にいる兵士の目線なので、作戦本部の場面も無ければ、科学者が宇宙人の弱点を探るシーンも無いですし、都市破壊シーンすらも無いんです。なので、世界規模の侵略SFでありながら、パニック映画の要素が一切無いんですよね。その代わりにあるのが、兵士達にとって謎の敵である宇宙人軍団との、前線での市街戦ですよ。それも、ほぼ最初から最後までですからね(一応、冒頭には侵略が起こる前の、人物紹介のくだりというのはあるんですけどね。おまけ程度に)。
いやぁ、こういうのも面白くていいものですね。『インデペンデンス・デイ』みたいな、全ての要素を網羅した映画と比べると、さすがにスケール感に乏しく、小ぢんまりとした感じはしてしまいますけど、今までありそうで無かった視点の映画ですし、こと新鮮味においては『宇宙戦争』を最初に見た時よりも大きく感じたものでした(どっちが面白い映画かはまた別の話ですが)。
インシディアス
<INSIDIOUS>
個人的評価 36点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎お化け屋敷度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
『ソウ』のジェームズ・ワン&リー・ワネルと、『パラノーマル・アクティビティ』のオーレン・ペリが手を組んで作り上げたホラー、と言う事ですが、内容は、引っ越した家で怪現象が起こるという“家物系”の映画で、『ソウ』の要素は全くと言っていいほど無かったですね。残酷シーンも無いですし、かなり『パラノーマル〜』寄りの映画でした。で、私自身、『ソウ』と『パラ』では、圧倒的に『パラ』の方が好みなので、これは非常に有り難かったですね。特に不快に感じるようなシーンも無く、最初から最後まで、「家物ホラーの新作」として楽しむ事が出来ました。
さて。今回の怪現象は、家そのものに憑いている、というものではなく、主人公の過去に因縁があるタイプなので(まあ、『パラ〜』もそうなんですけど)、途中で引っ越して逃げ出しても、引越し先まで怪現象が追って来る、という事になります。まさに逃げ場無し。
で、巻き起こる怪現象ですが、事の始まりでもあった「長男が昏睡状態になる」以外は、「オバケが出てきて奥さんを驚かす」という程度のものです。ですが、このオバケの出方が、21世紀的と言うのか、結構自己主張する気満々で登場するんですよね。
まあ、登場するだけで、何か悪さをするわけでもないんですけど、脅かされてる当人にしては怖いし不気味だしで、段々と参っていってしまうわけですよ。ちなみに、この手の映画でお馴染みのビックリ演出で現れては登場人物他、観客も驚かしてくるんですけど、効果音が控え目だったのか、観客に対しては、特に心臓に悪そうな感じもなく、どちらかと言うと、「ビックリ」よりも「ゾクっ!」の方が上回って感じられるような出方なんですよね。これは中々好印象でしたよ。登場人物達には悪いですが、オバケ達には「グッジョブ!」と声援を送りたいぐらいでしたね。
あと、ザコお化けの他、ボス格の「悪魔」という、見た目がダースモールっぽい感じの方も登場するんですけど、そのボス悪魔もザコお化けも含めて、何故かみんな「笑顔で登場する(もしくは、現れた後に笑う)」という共通点があるんですよね。
本来、笑顔と無縁な輩が、ニヤっと笑ってくるというのは、中々不気味なビジュアルですけど、後から思うと、「何で皆ニコニコしてんだよ」というのが妙におかしいんですよね。何だか、顔を合わす度に笑顔で挨拶してくる気のいいご近所さんか何かみたいで、「愛すべきお化け連中」みたいに思えてきてしまいましたよ。
ボス悪魔も、クライマックスでは、壁をカサカサ這って迫ってくるという愉快な芸も見せてくれましたし。前にこの芸を見たのが『デイ・オブ・ザ・デッド』でゾンビがやっていたという事もあって、「ああ、何かいいなぁ、この雰囲気」と思ったものでした。この、本来怖いはずの悪役に、何とも言えないB級感が漂ってるというのが微笑ましいです。
あと、オープニングとエンディングの曲が、もう、いかにもと言う感じの「怖い曲」なのも、最近のホラー映画には無い、独特の雰囲気があって、良かったですね。
と言う訳で、製作側の本来の意図とは違った面でですけど、全体的に面白い映画でした。見終わった後に「やっぱりホラーはいいなぁ」と思ったものでした。
(ネタバレ感想有り)←読みたい人はクリックしてください
スーパー!
<SUPER>
個人的評価 42点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★★☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎ボンクラ度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
冴えないボンクラがヒーローのコスプレで自警団気取りをして騒動を巻き起こす、という、『キック・アス』と同系統の映画で、パッと見、バッタ物のパクリ映画の類みたいですが、そういうタイプの映画ではなく、こっちはこっちで『キック・アス』とは別のテーマ性と面白さのある、完成度の高い作品となっていました(ヒーローのコスプレをするクセに、『スーパー!』の主人公の方は、コミックヒーロー達にほとんど興味が無かったというのは意外でした)。
ちなみに、私は『キック・アス』は、正直、あまりノリ切れない映画という印象でして(面白い、よく出来た映画だとは思いますが、好みの問題で・・・)、あの映画に期待していて、期待通りにならなかった点が、似たタイプのこの映画で解消されていたらいいなと思っていたんですが、まさにその期待通りの内容でして、満足させてもらえました。
その『キック・アス』の期待と違っていた点とは、まあ、おかしな話ですが、「主人公がストーリーを通じて成長し、ボンクラじゃなくなる」という点です。主人公が成長してガッカリなんて訳の分からない話ですけど、でも、ピーター・パーカーだって『3』でもまだ、ヒーローになる前の“ボンクラ度”をある程度残しているキャラだったじゃないですか。それを、ピーター以上のボンクラだった奴が簡単にリア充みたいになりやがって、けしからん!とか思ってしまったのです。
それが、今回の『スーパー!』では、ただ主人公が成長してめでたしめでたしで終わるというのではなく、結局のところ、主人公の目に見える成長度というのが、「ウサギを飼えるようになった」「部屋の絵が増えた」ぐらいのものでしかないんですよね。
もちろん、物語を通じて成長をしているんですけど、「立派な人間になった」という方向ではなく、「考え方が変わって、前よりも人生がちょっと楽しくなった」みたいな感じなんです。
でも、これこそが本物のボンクラ駄目人間のあるべき姿だと思うんですよね。一つの事件だけで、そんなに大きく変われるわけがないんです。せいぜい、「一歩前進できた。かもしれない」程度の成長しか出来ないからこそのダメ人間ですよ。
そんなわけで、「これは私だ!」みたいな感じで強く感情移入して見る事が出来ました。「ウサギを飼えるようになった」というくだりは、本当に感動しましたねぇ。今まで飼えなかった理由が非常に共感出来るものだっただけに。そして、これぐらいの変化は「自分にももしかしたら起こりうる」と思える程度のものなので、素直に喜べるんですよね。いきなりリア充化とかされたら好感度爆下がりですけど。「仲間かと思ってたのに、違う人種だったんじゃねぇか!」と。
あと、これはまた別の話ですが、悪役のケビン・ベーコンが、それほど酷い悪漢ではない、というのも、何か深い感じがしていいですよね。スパナだかレンチだかの凶器で過剰な暴力を振るう主人公と、犯罪者度はそんなに変わらないんじゃないかという。この、主人公のビジランテ行動も、やってる事はほとんど通り魔みたいなものでしたからねぇ。もう、ホラー映画の殺人鬼とあまり印象変わらないぐらいで(特徴的なマスクと凶器を持ってますし)。
でも、割り込み野郎を痛めつけて思い知らせてやりたいというのは、我々偽善者庶民の夢ですからね。過剰な暴力でしたけど、「よくぞやってくれた!」とも思っていまいましたよ。
トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン
<TRANSFORMERS: DARK OF THE MOON>
個人的評価 44点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎『世界侵略:シカゴ決戦』度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
いやぁ、何とも、期待外れの映画という感じでしたねぇ。
いつもなら、こういう、期待の大作映画が、1回目の鑑賞でイマイチという印象だった場合、2回目を見に行って、過剰な期待感の無い状態で改めて見る事で、「やっぱり面白い映画だった」と思い直す、というパターンになるケースが多いんですけど(今年もすでに、『X−MEN』『ハリポ』がそのパターンでしたし)、今回は2回目も見に行く気が起こらないぐらいでした。
そもそも、期待とは違っていたものの、面白い映画ではある、というのは、1回目の時点でも分かっていたんです。でも、今作の何が期待外れって、面白さ云々ではなく「これって、トランスフォーマーの映画じゃないよね」という面なんですよね。
確かに、バンブルビーやオプティマス等、お馴染みのキャラ達は出てくるんですけど、そういう、キャラの立った連中よりも、「特に変形もしない、ゴチャゴチャしたデザインのマシーン達」が主に出てきている、という感じなんです。
なので、前2作の時は、映画を見終わって家路についている最中、道行く車やらが「ロボットに変形するんじゃないか!?」とつい思ってしまう、というような事があったものでしたが、今回は、それこそ、主要の数体しか変形してなかったんで、その感覚も無しですよ。
その代わり、そこらの目につく建物が、「今にもミサイルが飛んできて爆破されるんじゃないか!?」と思ってしまうぐらい、こと“爆破”に関しては相当派手でしたけどね。
ともかく、「地球規模の侵略SFパニックアクション超大作」としても、そして、「マイケル・ベイ映画」としても、平均点以上の良作ではあるんです。でも、私が見たかったのは『トランスフォーマー』の新作で、『世界侵略:シカゴ決戦』ではなかったんですよね。
多分、元々そういう映画だと思って見ればいいのかもしれないんですけどね。逆に、「宇宙人の侵略物の大作映画に、トランスフォーマー達が出てる!」と思えば、得した気分になれるのかもしれません。現に、後に『ロサンゼルス決戦』を見た際、敵宇宙人軍団に対して、「もしオプティマスがいれば、こんな奴らケチョンケチョンにしてやれるのに」なんて事を思ってしまったものでした。
でも、「トランスフォーマーがあまり目立ってない」という以外は、過去2作とあまり変わらない雰囲気ではあるんで、そこまで上手く切り替えて見られるかどうか自信が無いですねぇ。
とは言え、実は、私が1作目を見る前に思い描いていた(予想していた)、「マイケル・ベイのトランスフォーマー映画」は、ちょうどこんな感じの内容だったんですよね。だから、これが1作目だったら、ちゃんと期待通りの映画として見れたかもしれないんですよねぇ。
ハリー・ポッターと死の秘宝Part2
<HARRY POTTER AND THE DEATHLY HALLOWS: PART II>
個人的評価 50点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★★☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎これが最後度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
01年末から始まったこのシリーズも、今回の8作目で(物語自体は7作ですが)とうとう最後となってしまいました。
思えば、ここに至るまでに色々な事があったものでした。最初はほんの子供だったハリーも、すっかりおっさんになりましたし(いや、実際はまだ10代の設定ですけど、結構、老けが早いですよね、ラドクリフ氏)。
映画も、傑作からイマイチまで色々ありましたが、この早いペースで作られ続けていた割には、どれもきちんと作り込まれた良作揃いで、私の好みの問題を別にすれば、出来に関してガッカリさせられた事は一度もありませんでした。
そんな、感慨深いこの最終作。4作目のラストから延々と引っ張ってきた、宿敵ヴォルデモートとの決着がついに描かれる事となります。
まあ、最後はハリーが勝つ事は分かっているんですが(ここにきて「悪が勝って終わり!」なんてラストになったら、全世界で暴動が起きかねませんからね)、問題なのは、その過程ですよ。いかにしてハリーは勝利を収めるのか、と。
ハリーも、選ばれた者である主人公なので、魔法の力も同年代の少年少女と比べたら強いんですけど、ダンブルドアはもちろん、他の大人の魔法使い(特に、過去にヴォルデモート軍と戦った経験のある、不死鳥の騎士団のメンバー等)に比べたら、まだまだ劣っていると思います。そもそも、こと、使える魔法の種類ではハーマイオニー以下でしょうからね。
それが、最強の魔法使いにどうやって勝つのか。もちろん、「狙撃ライフルによる暗殺狙い」とか「レベルを上げて物理攻撃」なんかではなく、もっと現実的な、「色々なアイテムを集めてくる」みたいな感じになるわけです。まあ、RPGなんかでもよく見るパターンですよね。敵の防御を破る魔法のアイテムとか、特殊な剣を見つけてくるだとか。
でも、この『ハリポ』の場合、ラスボスを倒すのに必要になってくるキーアイテムがやたら多いんですよね。分霊箱がいくつかに、死の秘宝が3つ。あと、ダンブルドアが残した謎のアイテムと、もう、「今、どれが必要で、ハリー達は何を探していて、結果、どうなるのか」が、見ていて非常に混乱させられます。さらに、この8作目の段階に来て新キャラまで出てくる始末ですし、正直、原作未読(前作の復習も無し)で臨んだ1回目の鑑賞時は、もはやストーリーについていけなくて、わけが分からないだけでしたね。もうちょっと綺麗にまとめる事は出来なかったのかと思いましたよ。
後に原作を読んだ時は、これぐらい複雑な方が「最強の敵を倒す手順」として面白いと思えましたけど、映画では情報量が多すぎて、処理するのに大変です。
まあ、それだけの手順を踏んで、ようやく倒せるほどの強敵を相手にしている、という事ではあるんですよね。なので、悪役を引き立たせるという点に関してはいい設定かもしれないですけど、何故か、今回、「ヴォルデモートって、本当にそんなに凄い奴なのか?」と思うようなボロが所々で出てくるんですよね。これはハリー達にとっての「つけいる隙」でもあるわけなんですが、何か、ラスボスのカリスマ性が、最後で急に薄れたような寂しさも感じられたものでした。
と、諸々の「気になる点」もあったものの、それにも勝る感動ポイントや燃えポイントもあったりと、シリーズ最後に相応しい内容であるのは間違いありませんでした。
巷では「優等生過ぎ」やら「ダンブルドアの敷いたレールの上を走ってるだけ」と批判されがちな主人公のハリーですが、私には、その頑張りが強く感じられて、本当に、「よく頑張った!お前こそ真のヒーローだ!」と心から思ったものでした。
だいたい、元々ハリーは好きで「選ばれし者」をやってるわけではないですし、一方で、ダンブルドアが敷いたレールを走るのも、並みの人間では無理というレベルのものをしっかりやり遂げていくんですよね。きちんと葛藤を乗り越えて、自分の与えられた使命を必死で果たそうとしている若者を、何故批判する事が出来ようか。私は数ある物語の主人公の中でも、かなり大きな事をやり遂げた一人であると思いますね。
ただ、個人的には、ハリーの頑張り以上に、スネイプの秘密の方に、より心を打たれたものでした。最初はスネイプの守護霊を見たダンブルドアが何故驚愕していたのか、よく分からなかったんですが、原作読了&映画2回目で、いかに凄い事が語られているシーンだったのかがようやく理解出来ましたよ。
マイティ・ソー
<THOR>
個人的評価 40点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎主役のナイスガイ度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
毎度お馴染みアメコミヒーロー映画ですが、これはただのアメコミ映画ではありません。『アベンジャーズ』出演予定のヒーローが出るアメコミ映画です。この『アベンジャーズ』も、言ってみれば、映画史上初の試みみたいなものなんで、非常に楽しみです。一体、どんな感じになるんだろうと。『エクスペンダブルズ』みたいに、ちゃんとそれぞれに期待通りの見せ場があったりするんだろうか。
で、その夢のクロスオーバー映画『アベンジャーズ』を楽しむには、登場ヒーローについて知っていないといけません。そういう意味でも必見な映画なわけですが、今回の“ソー”というヒーロー、他の方々と違って、最初から超人的パワーを持っている、人外な奴なんですね。なので、「ヒーロー映画第一作映画」の面白い点の一つである、「主人公が、いかにしてスーパーヒーローになるのか」という点が描けないというハンデがあるんですが、“最初から超人”というのも、まあ、これはこれで面白いものですね。思えば、『スーパーマン』もこのタイプですし。
で、その代わりという事なのか、主人公が「スーパーパワーを失う」という展開になるんですよね。元いた世界で、やんちゃをして親父に怒られて、パワーを没収され、挙句に地球という辺鄙な所に左遷させられるわけですけど、そこまでの事をさせられるなんて、よっぽど嫌な奴なのかと思いきや、これがまた、ナイスガイなんですよね。最初こそ態度が横暴でしたけど、まあ、これは文化の違いからくる軋轢みたいなものですし、すぐに態度を改める事になりますしね。何か、ソーの生まれや立場を考えると、地球人を下等な生き物として見下したりとかしてもおかしくないところなんですけど、そういう態度は最初から一切とってないんですよね。
そして、王子でありながらこういう目に遭っている事に対してグダグダと悩んだり落ち込んだりしない所も実に爽やかでした。
「主役のヒーローがパワーを奪われる」なんて、本来なら映画の面白さが半減しかねない大変な事態(主役よりも、むしろ私のような観客にとって死活問題)なんですけど、この「パワーを失ってる時期」に特にこれといった「ストーリーの停滞感」等が全く無いのは凄いですね。『ウルヴァリン』の時なんて、「山奥に隠居(パワーは失ってない)」という展開が出ただけで結構ダレたのに。
で、何故主人公のスーパーパワー消失がストーリーの面白さの減少に響かないのかと考えてみたところ、多分、そのパワー自体が、「珍しい特殊能力」というものではなく、漠然としたスーパーパワーというだけなので、元々主人公の能力が映画の面白さに繋がっていなかったというのと、あと、パワーの有無に関係なく、主人公が魅力的だった、という事なんだと思います。
ただ、これは多分、演じてる人の功績が大きいと思うんですけど、このソーがまた、普段の全ての行動がカッコイイんですよねぇ。顔の良さもさることながら(長髪が暑苦しく感じられず、むしろ気品する感じられるぐらいでしたからね)、「背が高くてマッチョ」という、このルックスの良さは、これまでのアメコミヒーロー映画中、随一なんじゃないかと思うぐらいですよ。
あと、先にも書いたように、キャラクターがほんとナイスガイで爽やかなんですよね。粗暴な男かと思っていたら、きちんと品の良さを持ち合わせているという、このちょっとしたギャップもまた魅力的でした。
ヒロインにナタリー・ポートマンという大物を起用していますけど、もう、このソーがカッコ良すぎて、「ナタリー、どこに出てたっけ」とか思うぐらい、主役が立ちまくってましたね。
実のところ、ストーリー自体が面白かったのかどうかよく分からないんですけど(主演が華の無い人だったら、ここまで楽しめただろうか、と)、もう、主役のキャスティングが完璧全て、全てのシーンが完璧に思えたぐらいでした。
・・・いや、アクションシーンには少々納得のいかない演出はありましたけどね。3D映画なのに、暗いシチュエーションでアクションさせるとか、アホじゃねえのかと。ただでさえ、環境次第では2Dよりも多少暗く見えるのに、元々暗い場面で派手なアクションとかやられても全然見えないだろうが。
そういえば、アクションシーンらしいアクションシーンは最初と最後にしかなくて、しかもどちらもCG使い過ぎ系のゴテゴテしたアクションなんですけど、全体的に、「暗い」以外でアクション関連に不満が無かったですね。何か、今までの私のパターンだと、こういう映画では「アクションシーンが少な過ぎ」という文句が出そうなところなんですけど、やっぱり、主役が男前だったからでしょうかねぇ。クライマックスなんて、コスプレ姿でハンマー振るってる姿を見てるだけでおなかいっぱいみたいな感じでしたからねぇ。と言うか、ソーの武器がハンマーだと言うのは噂で知っていたんですけど、まさかあんなちっちゃいハンマーだったとは思いませんでしたね。デカいハンマーを振り回す脳筋系ヒーローかと思ったら、「小型ハンマーを飛び道具としても使う」みたいな業師だったとは。
ラスト・ターゲット
<THE AMERICAN>
総合評価 21点 (50点満点中)
◎満足度 ★★☆☆☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★☆☆☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎前半は良かった度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
映画開始から約20〜30分辺りを見てる時は、「傑作キタコレ」と思っていました。それがまさか、あんな事になろうとは・・・。
いや、まあ、単純に、後半の展開が「個人的に気に入らなかった」というだけの話なんですけどね。正確には、後半というより、ラストでしょうか。ラストが良ければ、あの後半のグッダグタな展開(個人的には)もまだ意味があったと思えるんですけど、あのラストがねぇ。
もう、監督の思惑なのか脚本家の仕業なのかクルーニーの趣味なのか分からないですけど、絶対、深い意味とか考えてないでしょ、これ。ただ何となく「名作の作り方の教科書通りにしてみました」みたいな感じで、こういう終わり方にしたら映画は評価されると思ってるだけというのが感じられてうんざりしましたね。
ただ。まあ、言ってみれば私が見たいのは単なる「ハリウッド映画的ハッピーエンド」なんですけど、元々、ハリウッド映画的とは全く方向性の違う映画なんですよね。私が傑作だと思っていた前半の展開からして、普通のハリウッドのスター俳優主演映画ではまず見られないような、それはそれは落ち着いた演出になっていたんですよ。良く言えば詩的。悪く言えば地味みたいな感じで。
でも、同じ地味でも、『ザ・ライト』を見て感じた地味さとはまた違うんですよね。無意味な地味ではなく、意味のある地味とでも言うのか、その地味さが見てて非常に心地いいんですよ。
舞台が、ヨーロッパの田舎町なんですけど、この閑静な雰囲気も見てて実に落ち着くんです。ストーリー的には多少のサスペンス描写とか入ってるんですけど、それも含めて、見てて心地いいという感じなんです。
言ってみれば、環境ビデオ的な良さで、この静かな町を、超ダンディが、当てがあるのかどうかも見ててよく分からないぐらい、ただウロウロしているだけの映像が垂れ流されてるだけの場面を見てて、何とも言えない充実感が得られてくるんです。
で、後半になると、「町の娼婦」というキャラが出てきて、コイツとクルーニーが、「商売女と客」という関係を超えて親密になっていく、もしくは、いきかける、みたいな、超どうでもいい展開になっていくんですよね。
う〜ん、何というか、大人の男と女の恋愛話みたいな、見る人によっては楽しいエピソードなんだろうと思うんですけど、私にとっては「くだらない」以外の何物でもないお話なんですよねぇ。だって、いくらここでいい仲になったところで、どうせ長くて数年で「性格の不一致」か何かで別れる事になるんだろとしか思えないんですよね。
しかも、誰の趣味なのか、この娼婦が暇と隙さえあればおっぱいを出してやろうと企んでいるのかと思うような露出魔で、さっきまでの渋くて上品な雰囲気が一気に低俗になってしまったのも残念でした。クルーニーも負けじとケツを出す始末ですし。もうお前のケツは『ソラリス』で散々見たからいいよ。
と言う訳で、見る人が見れば「大人向けのいい映画」という映画だと思いますが、私にとっては、「前半だけは面白かった映画」という印象でしたね。その前半部分はほんと良かったですし、娼婦と絡まない所のストーリーは全般で良かったんで(予定調和極まりないラスト以外)、まあ、惜しい映画でした。
沈黙の宿命 TRUE JUSTICE PART1
<TRUE JUSTICE>
個人的評価 27点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★☆☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★☆☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★☆☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎セガール度 ★★☆☆☆ (この映画ならではの評価ポイント)
<個人的感想>
セガールがついにテレビドラマの世界に進出する事となり、その記念すべき第一話を劇場公開した、というものなのですが、まず、この「セガールのテレビシリーズ」というものが、『24』等のような、いわゆる地上波での1時間番組として放映されるものなのかと思っていたんですが、何故か、その辺りがハッキリしないんですよね。
この『沈黙の宿命』は、上映時間約90分と、1時間ドラマ2本分の尺なんですけど、ストーリーは1本分なんですよね。もしかしたら、日本で言う「2時間ドラマ」みたいな感じのシリーズなんでしょうか。と言う事は、「シーズン○○」みたいに続いて行くわけではなく、現在DVD発売が予定されてる5話だか6話ぐらいで終了になるんだろうか。
この辺の謎の部分は、劇場で売られていた薄っぺらいボッタクリパンフはもちろん、公式ホームページにも番組の詳細が書かれていないのでよく分からないんですよね。まあ、もしかしたら、配給側は、「沈黙シリーズ」という、“映画として”売ろうと企んでるのかもしれないですけど。『宿命』以降のエピソードにも、全部、『沈黙の○○』という、『沈黙の鎮魂歌』の時のボツネタなんじゃないのかと思うようなタイトルが付けられてますからね。
で、もしこの『トゥルー・ジャスティス』(←原題をそのままカタカナにしたもの)が1時間番組のシリーズではなく、2時間ドラマだった場合、実のところ、最近作とそれほど変わらない形態という事になるんですよね。最近作は、一応映画という体裁ではあるものの、Vシネマみたいな、劇場公開作として作られてはいないものですし、上映時間も変わらないですからね。
むしろ、今回、テレビ用のシリーズだからなのか、最近作と比べても低予算な感じがありましたし、シリーズにする事で逆に1作品における面白さや有り難味が薄くなってるような気がします。
これが、もし1時間物のドラマという、『24』や『CSI』と同じ形だったら、最近作とはまた違った受け取り方が出来たと思うんですよね。例えば、1話2話があんまり面白くなくても、「こういうのは、製作側も作り慣れてきて、それぞれのキャラが立つようになってきたら俄然面白くなるんだろうな」と、後のシリーズに期待を持てるんですけど、今の状況だと、不安しか無いんですよね。「このレベルの2時間ドラマが数作続いて終わるだけなのか」と。これだったら、これまで同様、未公開のB級アクション映画を作り続けていてくれた方が良かったです。少なくとも、今回の『沈黙の宿命』よりも、最近作の方が全然面白かったですからね。
実のところ、この『沈黙の宿命』単体では、褒められる所はほとんど無いんですよね。「セガールがボスとして君臨する刑事チームの活躍」みたいなのは、前の『沈黙の復讐』でも少し入っていた点ですけど、今回は、『復讐』の時以上に、部下の出番が増え、セガールの活躍シーンが減ってるんで、「これまでと比べてファンが得をする要素」は何も無いんです。
これで、セガールの活躍場面が減ってもなおお釣りがくるぐらいに、刑事物ドラマとして面白ければいいんですけど、そこまで面白くも無いんですよね。部下のキャラもまだ固まってないような感じですし。
ただ、これが「毎週見られる」となるとまた話は変わってくるわけですけどねぇ。
ちなみに、今回の『宿命』では、90分一本のストーリーではあったものの、ちょうど真ん中ぐらいに、一区切りみたいな箇所があったんですよね。なので、もしかしたら、1時間物の2エピソードを、編集で1本に繋げてる可能性もあるんですよね。もしそうなら、「余計な事をしやがって」という感じですよねぇ。レンタル屋で『24』の棚に並べられた所、これでは今まで通り、好き物しか行かないB級アクションコーナー行き確定ですものね。
ともかく、現状の『沈黙の宿命』には、「不満しかない」みたいな感じなんですが、果たして、『トゥルー・ジャスティス』の真の姿はどんなものなんでしょうかね。後に期待が持てるようなシリーズなんでしょうか。
←前に戻る