個人的評価 32点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎寝ちゃダメ度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
あと、内容面に関しても、どうも、全体的に「Jホラーのハリウッドリメイク」の映画群と似たような空気感が漂ってるような印象があったのも、私の持っていた『エルム』シリーズの印象とはまた違うものなんで、「何か、ちょっと違う・・・」という気がしてしまいました。
否定的な所ばかり書いてしまってますけど、映画としては面白かったんです。でも、この映画の面白かった点というのは、要するに、元々このシリーズが持っていた面白さなんですよね。眠ったら襲われる所とか、フレディのキャラクターだとか(ジョークを言わない、真面目な怪人になりましたけど)。ヒロインかと思っていたキャラクターが序盤であっさり死ぬ所も、オリジナルと同じ展開なのにも関わらずビックリさせられましたからね。
でも、それ以上の物とか、このリメイクならではの面白い所というのが感じられないんで、結局、「『フレディの映画が見たければ、オリジナルを見た方がいい」という事になってしまうわけですよ。もしかしたら、新フレディに違和感を抱かなくなってきたらまた印象も少しは変わってくるかもしれないですけどね。
個人的評価 42点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★★☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎世紀末救世主度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
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個人的評価 50点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎ジャッキースマイル度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
という訳で、ジャッキー映画とファミリー映画が高いレベルで融合した、素晴らしい映画だったと思います。
個人的評価 49点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎リビングデッ度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
現実に起こっている、社会派なメッセージが込められているというのが、これまでのロメロゾンビ映画のパターンでしたけど、実は、今回は何について語ろうとしているのかがよく分かりませんでした。
とある島を舞台に、意見の対立する2人の有力者の確執が主に描かれているので、「人は何故、ここまで我を通してまで争いをやめようとしないのか」的な事を言いたいのかもしれません。
「ゾンビがはびこっているという危機的状況の中での、人間同士の諍い」というのは、ロメロ映画じゃなくても描かれる事のある面ですけど、今回、ゾンビがかなり弱体化していまして、結構、人間側に余裕があるんです。なので、生存の為の諍いと言うより、ほんと、ただの意見の食い違いで大争いしてるみたいなんですよね。
ちなみに、ゾンビが弱体化しているとはいえ、性能的には、「動きがこれまでよりもちょっとスロー気味」というだけなので、人をとって食いますし、噛まれた人はゾンビになりますし、噛まれなくても死んだらゾンビになります。
で、そんなのが蔓延る世界の中、とある島を舞台に、その島の有力者二人の確執が描かれていくのですが、確執の原因となるのは、「ゾンビを生かしておくか、即、殺すか」というものです。一方は、これまでのゾンビ映画の登場人物同様、ゾンビ化した者は片っ端からぶち殺していくべきと思っているんですが、もう一方は、「元は人間だったのを簡単に殺すというのはどうか」という建前の元、飼いならして、人を襲わないようにうまく躾けていくべきと考えています。
これ、『死霊のえじき』でも同じような対立構図が出ていましたけど、『えじき』とは感じが全然違うのが面白いですね。「生存の為」よりも、「各人のエゴ」がより前面に出てるような感じがあるんです。
で、この島の中の争いに、「島なら安全だろう」と思ってやってきた元州兵達と謎の民間人の少年が巻き込まれていくんですけど、この登場人物がそれぞれキャラが立っていて魅力的なんですよね。
主人公格の元州兵のアンチヒーロー的な感じも中々カッコ良かったですし、対立している島の有力者の片方である爺さん(まあ、どっちも爺さんなんですけど)の、悪賢そうな雰囲気も実に素敵でした。そして、序盤から行動を共にすることとなった謎の若者が、最後まで何者なのかよく分からないところも何かいいです。一見、普通の若者なんですけど、妙にサバイバル能力が高そうなんですよね。
そして、主な舞台になる島の全体的な雰囲気も良かったです。「怖くて気味の悪い場所」という感じがよく出ているんですけど、これが、ゾンビが跋扈しているから怖いのではなく、住んでる住人がイカれてるから怖いと感じられるんですよね。協力し合えば安全な場所に出来たはずという背景もありますし。
何だか、この異常な世界の中、この人達は狭い島に篭って何をやってるんだろう、とか思ってしまいますね。しかも、この島の人達が特別おかしいというわけではなく、どこの地域でも、それこそ、自分の住んでる周辺でも起こり得る争いのように思えてしまえるのが恐ろしいところです。
個人的評価 40点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★☆☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎トニー・スターク度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
個人的評価 37点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎ジャンプアクション度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
あと、全体的に、「きっとこの映画の監督は、常に“スティーブン・ソマーズならこの場面をどう演出しただろう”という事を思いながら撮っていたに違いない」と思うような雰囲気が感じられましたね。
主人公とヒロインのやりとりの場面とか、コメディリリーフ系のキャラの扱いとか、スローの使い方とか、「あれ、『ハムナプトラ』の新作を見てるんだっけ?」と一瞬思ってしまうぐらい、似た所があるんです。まあ、「アクション・アドベンチャー映画」を作ったら、たまたま似てしまったのかもしれないですけど(笑)。
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個人的評価 30点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★☆☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★☆☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎マット度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
現実には存在しなかった「大量破壊兵器」を探す任務に就いている兵士の話なんですけど、やっぱり、無いと分かってるものをサスペンスタッチで探されても、それほど面白味が感じられないんですよね。で、中盤ぐらいで、「実はそんなもの存在しなかったのでは!」という事が、ストーリーが一変する大事な話であるかのように語られてくるんですけど、これで驚いてるのは劇中の人物だけなんじゃないんだろうか。
この話を、当時ではなく、今映画化した事に何か意味があるんだろうかと思ってしまうんですけど、これは、問題提起を目的としてるわけではなく、「この時、アメリカはこんな事をしていたんですよ」というのを記録として残してく為に作られた映画、という事なんですかね。
製作の目的がどうであれ、中身が映画として面白ければ、一本の戦争アクション映画として評価出来ると思うんですけど、ほんと、普通なんですよねぇ。サスペンスやアクションの面白さや緊張感も普通ですし、「ここは面白い!」と思うような、印象の強い箇所というのが無いんです(クライマックスのアクションシーンにおいて「これは酷い!」と思うような箇所はありましたけどね。画面が暗いわ揺れるわで何が起こってるのか全然分かりませんでした)。
完全に、大量破壊兵器に関する話を語る事ありきといった感じなんですけど、これも、特に今見て「この件を教訓として、我々も気を付けなければならないな」みたいな事を思うような事も無いですし。
ただ、大量破壊兵器を追い求める主人公の隊長兵士の、有能さと正義感が同居する頼もしさは、見てて実に清々しかったですし、演じるマット・デイモンも役に見事にハマっていました。この、「主役が魅力的」という点があるおかげで、最後までそれなりに面白く見る事は出来ました。『プライベート・ライアン』の時は、あんまり兵士に見えないような、少々頼りない感じだったのが、今ではもう、部下達に矢継ぎ早に命令を繰り出すという、見事なリーダーシップぶりを見せたりする様が、すっかり板についてるように見えるんですからねぇ。これも、『ボーン〜』シリーズで「強い男」の役の修行を積んだおかげなんでしょうか。
個人的評価 35点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★☆☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★☆☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎世にも奇妙度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
“ストーリーの意外性”と言えば、見る前は「ボタンを押す押さない」で2時間近くどうやって持たせるんだろうと思っていたんですけど、もう、かなり早い段階で、「ズバッ!」と、目にも止まらぬスピードで押してしまった時はビックリしましたね。実は、「押した後、どうなるのか」というのがストーリーのメインだったんです。
で、押した後、二人の周りの世界が一変してしまうんですよね。いや、世界自体は押す前と何も変わってはいないんですけど、ある事に気付いてしまうんです。気付いた以上、もう通常の生活を送る事は出来ないような事実に。
ここから話は驚くような方向に進んでいくわけですけど、これがまた、前半30分と後半30分を見比べたら、全く別の映画に思えるんじゃないかと思うぐらいの変容っぷりですよ。でも、あんな謎なボタンが登場するような映画なんですから、何が起こっても不思議じゃないとも言えるかもしれないですけどね。
ちなみに、この映画の時代設定は70年代なんですけど、多分、現代が舞台だったら、フランク・ランジェラがどんなに説明しようとも、こんなボタンの効果を誰も信じようとしないんじゃないかと思います(そもそも、現代が舞台なら、箱ではなく、ネット上のサイトを使ってきそうです)。「押すか押さないか」なんて考えるまでもない事ですし、まして、映画のストーリーでも無理がある設定だと思ってしまいます。でも、70年代ぐらいなら、こういう超常的な道具の存在も信じてしまいそうな気がするんですよね。登場人物が、このボタンの効果について「もしかしたら・・・」と思ってしまうといのにも納得がいくんです。
ただ、ボタンを押してしまった理由には、「ボタンの効果について、心から信じているわけではないから、軽い気持ちで」という面もあったようにも思えます。でも、ボタンについて悩んでいたのは確実ですし、「こんなもので悩むぐらいなら、とっとと押して楽になってしまおう」というのもあったのかもしれません。
ですが、結局、ボタンを押してしまった事で、これから大変な事が起こっていくわけです。一応、本当に100万ドルは貰えたんですけど、「この金をどうするか」という話が、「子供に見つからないように金庫に隠す」以降、全く話に絡んでこないぐらい、ストーリーにとってどうでもいい扱いなんですよね。
本当にお金が欲しくて押したというわけではなかったと思いますし、実際、ボタンを押したキャメロン・ディアスのキャラクターは、かなりの善人として描かれています。それも、足に障害を持っている善人ですよ。夫のサイクロップスも、「良き夫」のイメージをそのまま具現化したようなキャラクターです。
要するに、善人だろうが悪人だろうが関係なく、自分のしでかしたミスに対しては責任を負わなくてはならない、という話なんでしょうかね。例え、そのミスが、わざとじゃなかったり、過失だったり、「そこまで大事になるなんて思ってもいなかった!」というようなものでも、です。いやぁ、当たり前と言えば当たり前の事ですけど、厳しい話ですねぇ。
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個人的評価 42点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★★☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎ワンダーラン度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
あと、やっぱり、3Dで見たというのも、この映画を楽しめた要因の一つではあったと思います。IMAXではありませんでしたけど、前に見た3D映画が『タイタンの戦い』だったせいか、「かなりの立体感と飛び出し具合」というように見えましたし、何よりも、3Dはアクション映画よりもファンタジー映画の方が向いてるという面があると思うんですよね。
3Dの使い方は、『アバター』みたいな「奥行きの表現」方向よりも、「何が手前に来るか」方面にこだわってるような感じでしたけど、やっぱり、こういうタイプの方が3Dの面白さが分かり易い気がしますね。アトラクション的面白さもかなり加味されていたと思います。ちゃんと、手前側に向かって物を投げてくる奴とか出てきましたからね。やっぱり、こういうのは、ベタですけど面白いです。
実は、IMAXで見た『アバター』が、思っていたほど3Dという手法が魅力的に思えなかったという事で、3Dに対してかなり懐疑的になっていたんですけど(『タイタンの戦い』でトドメも刺されましたし)、この映画の3Dは良かったですね。そして、最新の映像表現技術のこの見事な使いこなしっぷりは、さすが、映像派の監督だけの事はあるなと思ったものでした。
そして!この映画を語るうえで忘れちゃいけないのが、ブタさんの存在です。
まあ、画面に映っていた時間は、全部合わせて1分に満たないぐらいではありましたけど、もう、非常に可愛らしいブタでしたねぇ。一応、悪い女王の足置きにされたりとか、台座か何かを担がされていたりだとか、こき使われてる役どころではあったんですけど、でも、こんなもの、現実世界でブタがどんな目に遭ってるかを考えれば、十分、まともで楽な仕事ですよ。
それにしても、足を乗せられてる際に微動だにせずに固まってる所とか、もう、可愛くてしょうがなかったですねぇ。あと、登場時にはブーブーという鳴き声が入る所も最高でした。あの声を聞いてるだけで自然と顔がニヤけてきてしまいます。
個人的評価 31点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎クラシカル度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
“リメイク映画”という括りの中では、半端にオリジナルの要素や雰囲気を残しているよりも、『ドーン・オブ・ザ・デッド』や『ポセイドン』のように、完全に現代向けにフル改造されてる映画の方が好みです。その方が、オリジナルとの差別化が図れて、「オリジナル、リメイク共に違う面白さがある」と思えて、どちらかの映画の価値が下がるという事が無いですからね。
でも、この映画みたいに、オリジナルがあまりに古になってくると、下手にいじらない方が新鮮な面白さが出せるのかもしれないですね。むしろ、残虐描写がもっと控え目で、さらに落ち着いた雰囲気があっても良かったんじゃないかと思うぐらいでした。
ちなみに、この狼男の話を、今、改めて見直す事で、「何かに噛まれて、常人以上のパワーを得る」「自動で変身し、変身後は自分で制御できない」という、後の『スパイダーマン』や『ハルク』のような、ヒーロー物の要素が入っていた事に、今更ながら気づきました。数年前にオリジナルをDVDで見た時はこんな事思わなかったんですけどね。「これで、変身後に人を無闇に襲う習性というのが無ければ、“ハルク+ウルヴァリン”みたいなヒーローとして活躍出来そうなのに」なんて事を思ってしまいました。
ですが、コミックヒーロー物と違って、その超人的変化が、本人にとってはただ不幸なだけで、悲劇的なまま話が終わるんですけど、これもまた、実にホラー的な展開でいいんですよね。アクション映画でこういう方向に話が進んだらガッカリですけど(笑)。
個人的評価 39点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★☆☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎魔物度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
という訳で、新鮮味がまるで無い映画で、「何で今リメイクしたんだろう」と思わざるを得ないところでしょう。
ですが、「剣と盾を装備したマッチョが怪物と戦う映画」なんて、基本的に、いつ作ってくれても構わない、存在自体が有り難い映画じゃないですか。製作側に特にチャレンジ精神的なものが感じられなかろうが、こういう映画をA級の大作映画として製作してくれたというだけで嬉しい事です。
で、この映画が「内容的に、無条件で100点」という前提のうえでの話なんですけど、過去のこの手の映画、『ロード・オブ・ザ・リング』や『ベオウルフ』、そして、怪物は出ないものの『トロイ』『300』なんかも同系統としてもいいでしょう。そういった、ここ数年の先発の映画群のアクションシーンと比べて、この後発ではどんな面白いアクション描写を見せてくれるんだろうという期待をしていたんですけど、こちらもまた、これといって珍しい所の無い、普通のアクションだったんですよね。
「怪物と戦う」という所までで終わってしまっていて、「デミゴッドの主人公は、怪物を相手にどういう戦い方をするのか」といった面に関しては、あんまり練られた形跡が無いんですよね。ほんと、「怪物を出しただけで満足」みたいな感じで、これは少々残念でした。
『トロイ』や『ベオウルフ』なんかは、主人公が“どう強いのか”というのが、アクションシーンでの動きや戦い方できちんと伝わるように演出されていたんで、そういった面がこの映画にあれば、ほぼ無敵だったのにな、なんて事を思ってしまいました。
一応、この映画のペルセウスも、他の人間の仲間達とは近接戦闘時の動きの早さが全然違うという面があるみたいなんですけど、何か分かりにくいんですよね。最初見た時は、デミゴッドの強さの表現というわけではなく、単なるルイ・レテリエ風のアクション演出なのかと思ってました(と言うか、実際そうなのかも・笑)。
ですが、先発の映画群や、ついでに『パーシー・ジャクソン』にすら無い、この映画ならではの点というのもちゃんとあります。それは、超特大サイズの怪物、と言うか、怪獣が登場するという点ですよ。『ロード・オブ・ザ・リング』のゾウさんや『ベオウルフ』のドラゴン、『パーシー・ジャクソン』のヒドラといったデカキャラ軍団すらも小物に思えるぐらいの、圧倒的サイズ!
で、そんなのが町を襲ったりするんですよ。そして、主人公がその前に立ちはだかったりするんですよ。これは燃えますねぇ。燃えざるを得ないですね。もう、ゼウスの「クラーケンを放て!」のセリフの後、劇場内、大歓声でしたね。いや、実際は“劇場内”ではなく“俺の心の内”でしたけど。
と言う訳で、他の同ジャンルの映画と比べて、足りない面もあれば、超えてる面もあるという、要するに、この手の映画の一本として恥じない一作だという事ですよ。今後もまた、こういう映画が作られて欲しいものです。
個人的評価 38点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎謎解き度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
ただ、実は、この手の「ラストで驚かせる」系の映画って、もうだいたいパターンが決まってるんですよね。そのいくつかのパターンの内のどれが出てくるかを、ストーリーの流れから予測すればいいだけなんで、結局、割と早い時期にオチを当てる事が出来てしまいました。
ですが、そのオチが出てくる理由とか、何が原因でそういう展開になっていくのか、というような事は分かりません。ストーリー展開から推理するわけではなく、「監督なり脚本家なりは、どうやって観客を驚かそうとしているのか」という方向から予測をしているだけですからね。
要するに、複雑なパズルの、答えだけを知っていて、どうやったらその答えが導き出されるのかの過程が全く分からないみたいな状況なわけです。頭の悪い予測の仕方と言えなくもないですが、でも、こういうのは解いていく過程が面白かったりするわけなんで、ストーリーに対する興味が低下するという事は一切無いというのが強みです。
と言う訳で、前半の割と早い段階から、「きっとこれが真相だろう」という、“オチ予測第一候補”があって、その後、ストーリー展開を見ながら、「どうしてそういう真相に向かう必要があるのか」「他の真相が出る可能性はあるか」といった事を考えながら見ていったのですが、途中で、結構話が複雑化してくるんですよね。「もしかしたら、予想を間違ったかも?」と何度か思わされたものでした。
でも、よくよく考えると、表面上複雑化してるだけで、特にストーリー展開に変化があるわけでも無いんですよね。「捜査官が、消えた女患者の捜査に来たが、本当は別の目的があり、この島にいるらしい、ある人物を探している」というのが大元の話なんですけど、その周辺から、何だかよく分からない新事実が次々と出てくるんですよ。
で、「なるほど、簡単に観客に先を予測させないように、わざと話しが小難しくされているんだな」とか思ったんですけど、でも、果たしてこの「オチを予測する」という見方って、製作側が意図してるものなのかな、というのが気になってきてしまいました。
映画が始まる前に、目の錯覚についての説明やら、「あなたはこの映画の謎がいくつ分かるか」的な煽り文句が出てきたおかげで(予告でも「目の錯覚」のくだりは出ていましたし)、こういう鑑賞方法になりましたけど、考えてみれば、こういう煽りは、日本の配給会社が付け足したものなんですよね。
「超吹き替え」とか言う、わけの分からないものもありましたし、この映画の宣伝に対して、結構小細工を多くかましてきてるようなんで、もしかしたらこの映画に衝撃のラストがあるというのも、配給会社が宣伝の為にでっち上げ、まではいかずとも、少々過剰に吹聴してる可能性もあるのでは、なんて事まで思えてきてしまいました。
いやぁ、これは恐ろしい予測でしたね。「結局、何のサプライズも無く、普通に映画が終わる」なんて、まさに衝撃のラストですよ。
ですが、中盤以降、大元のストーリーの目的が覆されるような驚きの展開が出てきまして、「これは、やっぱり一筋縄ではいかないタイプのストーリーの映画に間違いないらしい」というのが分かって、一安心するのでした。
と、最初から最後まで色々と油断のならない展開で、目が離せませんでしたね。そもそも、ラストの予測をしようがしまいが、この謎解きストーリーそのものが、単純に、見てて面白いものになってるんです。
鑑賞後の印象も良好で(当初の予想が当たってたから、というのもあるんでしょうね)、個人的には、スコセッシ映画で、初のヒットでしたね。もしかしたら、この人の作風が合わないわけではなく、今までこの人が撮ってきた映画の脚本自体が私の趣味と合ってなかっただけなのかも、なんて事を思ってしまうぐらい、「ここがイマイチだった」という所の無い映画でした。
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個人的評価 37点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★★☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎切り口の新鮮度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
大概、よく出来たSF映画というのは、「現実の何かの問題をSFというフォーマットで描いている」、という面があったりするものですけど、この映画でも、地球にやむなく移住する事となったエイリアンが、南アフリカのとある地区に隔離され、そこで人間達から差別を受ける、的な話が出てきて、過去のアパルトヘイトといった差別問題等に対する寓話としての意味が込められているというのが分かります。
でも、そういう、有り難くて格調高い背景は関係無しに、「エイリアンがスラムで暮らしてる」という絵が何か面白いんですよね。だって、エイリアンといったら、これまでの映画では概ね敵として描かれていて、人間にとってはモンスターのような存在だったじゃないですか。実際、この映画のエイリアン、通称“エビ星人”(そんな通称じゃない・笑)も、外見は不気味なクリーチャーそのものといった感じです。
で、そんな奴らが掘っ立て小屋で暮らしたり、地元の悪い黒人に騙されて安い猫缶(エビ星人の好物)を高値で買わされたりしてるというのが、もう面白過ぎです。
ちなみに、このエビ星人の外見、見慣れてくると、ちょっと可愛らしく見えてくるんですよね。まあ、これは人によると思いますけど(最後まで不気味としか思えない人もいる事だろうとは思います)、でも、子エビ星人なんて、ほとんど萌えキャラみたいな感じでしたよね。何だか、「このエイリアンとなら、仲良くやっていけそうな気がする」なんて事まで思ってしまいました。
と、こんな世界観のお話を、前半では、ドキュメンタリータッチで、現実味たっぷりに描写している、というのがまた面白いんですよねぇ。この荒唐無稽な世界にどんどん真実味が帯びられていくようで、序盤の段階で、この映画の世界の面白さと興味深さに、すっかり虜にされてしまいます。
そんな、リアリティのあった前半から一転、後半では、「これは、B級アクション映画だったのか・・・?」と思わず戸惑ってしまうぐらいのぶっ飛んだ、それでいて熱く燃える展開が出てくる事となります。
要するに、派手なアクションシーンが登場するわけですけど、この映画にアクションシーンがあるという事は、予告編から予想出来ていました。でも、ここまでSFしたアクションが出てくるとは思ってなかったんで、ビックリしましたね。それこそ、普通のA級映画なら恥ずかしくてやらないぐらいの、「観客が本当に見たいのはこういうのだろう」という、B級スピリット溢れるアクションシーンなんです。これは、きっと、プロデューサーがピーター・ジャクソンだったからこそ許された展開だったんじゃないですかねぇ。
と、本来なら「激燃え必至」なクライマックスなんですけど、実は、私はそれほど興奮出来なかったんですよね。まあ、それは、「ほんの2,3時間前に『沈黙の鉄拳』という素敵な映画を見ていた」というのもあるんですけど、それを抜きにしても、いまいち乗り切れないものがあったんです。
何でかと言いますと、この戦いそのものが、「避ける事が出来たんじゃないか」と思えてしまったからです。まるで、無益な争いと無駄な殺し合いを見てるような気になってしまったんですよね。主人公、敵、エビ星人の間でもう少し意思の疎通が出来ていれば、誰も死なずに解決する方法が見つかったのではと思えてしまったんですよね。
そもそも、人間側がいくらなんでも非道に描かれ過ぎてやしないかという疑問もあって、いくら相手が怪物みたいな外見のエイリアンとはいえ、世界的な注目が集まっているに違いないような場所で、「強制立ち退き」やら「人体実験」、「人権無視の横暴」なんてやるだろうかと。
映画の悪役という事で過剰に悪い奴として人類が描かれているという事だと思うんですけど(『アバター』みたいに)、実際にこんな状況が起こっていたら、もっと話し合いの場を多く設けていたと思いますし、20年も経てば、お互いの事をもっと分かり合えていたはずだろうと思うんですよね。そうなれば、こんな殺し合いが発生する事も無かったわけですよ。
でも、結局のところ、現実世界での争い事というのも、そうやって発生してるものなんですよねぇ。傍から見たら、話し合いでどうにかなりそうな気がするけど、当事者(当事国)にとっては、戦わないと気が済まないみたいな。
「思ったよりも興奮出来なかった」とはいえ、このように、クライマックスのアクションシーンですら、単純に見えて、実は奥の深い面があるわけですよ。批評家や映画ファンが絶賛するのも納得の、知的で面白い、非常に完成度の高い映画である事は間違いないでしょうね(おかげで、「じゃあ、別に私が評価する必要は無いな」とか思って、あんまり愛着の湧かない映画という印象だったりするんですけどね・笑)。
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個人的評価 46点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★☆☆☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★☆☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎無敵度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
今作『沈鉄』の何が良いって、後半部分がほとんどアクションシーンのみで構成されているという点ですよ。その代わり、前半は少々退屈気味で、見ながら「あれ、今回はハズレか?」と思いかけてしまったんですが、後に見事挽回してくれました。
ちなみに、“アクションシーン”といっても色々種類がありますが、この映画で主に出てくるのは「銃撃アクション」です。しかも、実のところ、セガールはほとんど絡んできません。今思い返しても、「セガールが銃を撃った場面って、あったっけ?」と思うぐらい、ガンアクションの印象がほとんど無いんですけど、でも、その合間をぬって、敵に接近戦をしかけるという事はちょくちょくやってくれますし、その銃撃シーン自体、参加している人数の多さや飛び交う銃弾の数の多さからして、ここ数年のセガール映画の中でもかなり大規模なものなんですよね。なので、まず、アクション映画としての面白味がしっかり存在しているんです。で、そのうえで、定期的にセガールが暴れる場面が出てきてくれるわけですよ。
その肝心のセガール大先生のアクション、即ち、セガール拳のシーンですが、今回、「早回し」という演出方法を多用してくるという見せ方になっていました。
これだけ聞くと、単にガッカリなアクション演出と思われがちですが、これが意外と、視覚的に面白い見せ方になっていたんですよね。まず、カット割りが細かいというわけではないので、特別「見づらい」という事はなかったですし、何よりも、セガール拳のアクションが倍速で表示されるというのが、見てて面白いんですよね。
普通、アクションシーンで早回しを使う時は、アクションにスピード感を出す為に、通常よりも少し早くして見せるとか、アクションとアクションの合間を早回しで詰めて見せるとか、ちょっとした工夫も込みになるケースが多いと思うんですけど、この映画の場合、本当に、普通のアクションシーンをただ早送りで見せてるだけみたいな感じなんです。
これは、その昔、ビデオの早送りの映像を初めて見たとき、普段よりも早いスピードでちゃかちゃかと人や物が動く様が、何か滑稽な感じがして、妙に面白く感じられたものでしたけど、あの時の楽しさに通じるものがあったような気がしましたね。セガールが倍速で動いてるというのも楽しげですが、やられてる敵も倍速で吹っ飛んでる様がもう楽しくてしょうがないです。まあ、毎回こんなアクションだったら困りますけど、一回ぐらいはこういうのがあってもいいんじゃないかと思いますね。
あと、セガールが一回暴れると、敵が倒されるだけでなく、周囲にある机やら壁やら、色々な物も一緒に破壊されていく事になるんで、アクションが終わった後のセガールにやられた敵の姿というのが、「格闘の強い男に倒された姿」と言うよりも、「竜巻か何かの災害に遭遇した被害者の姿」みたいに見えるんですよね(笑)。早送りのおかげで、「格闘」よりも「災害」という感じがより出てしまってますし。
また、セガールの無敵度合も相当なレベルでして、ちょっとでも苦戦する箇所が全く無しです。最近作では、時折ダメージを受けて見せたり、銃弾を食らってみたりというのをする事もあったんですけど、今回はかすり傷一つ無しでしたね。
ストーリー面でも、勝手に事件に介入してきて、事を大きくしていったり、ロシアンマフィアのボスみたいな人と一目で分かり合ったりと、豪快な所を見せてきて、「さすがセガール映画だ!」と思わず唸ってしまいます。退屈に感じられた前半の展開も、「後半にお楽しみが待っている」というのが分かって見て入れば、セガールの不敵な行動をもっと純粋に楽しんで見る事が出来たような気もします。
今回の敵の大ボスは、『沈黙の聖戦』でセガールと組んだ過去のあるバイロン・マンで、中々のアクションを見せられる人ですよ。多分、主役がスナイプスでもそこそこ苦戦させてくるであろう使い手ですけど、今回は「相手が悪かった!」みたいな状況になってしまいましたねぇ(まあ、『沈黙の追撃』のゲイリー・ダニエルズよりは善戦しましたけど)。
そして、ラストの、セガールがフィニッシュをキメた瞬間の、「完全勝利!」っぷりは、爽快感たっぷりでしたね。「これだからセガール映画は素晴らしいんだよな」と改めて思わされたラストでした。
個人的評価 37点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎ジェレミー度 ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
と、これまでの戦争映画とは異質な内容の映画なんですけど(私が見てない中にこういうのもあるのかもしれないですが)、映画を見終わって受ける印象は、これまでの戦争映画とそれほど変わってるとは思えないんです。
だいたい、今、これまで通りの内容の戦争映画を作ったところで、『プライベート・ライアン』や『硫黄島からの手紙』といった映画を超える事はまず出来ないでしょうからね。せっかく、いいテーマを持ち出してきても、「あの映画の方がもっと凄かったな」と思われてはしょうがないです。
だから、こういう、新しい切り口で“戦場”を描写する戦争映画を作ったというのは、正しいし、意味と意義がある事だったのではないかと思います。
そして、この映画で出てくる戦場とは、大勢の兵士が弾を撃ち合い、戦車や爆撃機の砲弾や爆弾が飛び交うというものではなく、「一見、市民が生活している町だけど、どこに爆弾等の危険が潜んでいるか分からない」というものです。
これまでの戦場もかなりイヤでしたけど、今回の、「兵士が命を賭けてる様を、市民がちょっと離れた所から見物している(しかも、その市民の中にテロリストが潜んでる可能性もある)」というのも相当キツかったですね。
過去の戦争映画でも描かれてきたような死と混沌が支配する戦場と、平和と秩序が存在する普通の町並みという、相反するようなものが同時にその場に存在しているかのようで、むしろ、異常性はこちらの方が上なんじゃないかと思うぐらいです。
そして、そんな異常な状況を生き抜かなくてはならない兵士達の辛さというのは、昔ながらの戦場に送り出されて戦う兵士達の辛さとはまた別種の辛さがありそうでしたね。
と、戦争映画の一本として、かなり新鮮味があって面白い映画だと思いましたが、もう一点、アクションヒーロー物映画としても結構見れる所がありまして。
この映画の主役、ジェレミー・レナー演じる軍曹というのが、「危険中毒」にかかってしまってる奴でして、普通の神経の人ならビビってしまうような局面にも、ほとんど臆するところを見せずに突き進んでいったりするんです。この比類なき頼もしさといったら、まさにアクションヒーローのそれですよ。
冒頭で、「爆弾処理というのが、いかに危険で、神経をすり減らす作業なのか」というのを、緊張感たっぷりの描写で見せてきまして、これがまた、物凄く怖いシーンになっているんです。
でも、後にジェレミー軍曹が爆弾処理に挑むシーンが出てきた際、全然ビビらずに、平然と解除に向かっていくんですよね。もはや、爆弾処理シーンが、「緊張感漲る怖い場面」から「ヒーロー大活躍シーン」みたいに変わってしまってるんです。
ただ、前半こそ、スーパーヒーローみたいな感じの活躍を見せていきますけど、中盤から、まるでメッキが剥がれていくかのごとく、ミスをしたり、解除出来ない爆弾に出くわしたり、おかしな行動を見せたりするようになっていきます。
この辺りは、主人公の人間的成長のプロセスとして描かれているようなんですが、私には、どうにも「戦場のストレスでイカれてきた」としか見えませんでした。それでも、この人にはもう危険の中で生きる事しか出来ない体になってしまっているのだなと。
ですが、どちらにせよ、こういう場でしか生き甲斐を見出せられないという主人公に対しては、同情せずにはいられません。だって、こんな異常な戦場、人が近寄っていい場所とはとうてい思えないですからね。例え、爆弾処理が自分の天職だと気付いたんだとしても、天職がこんな場所にあるなんて気の毒じゃないですか。もちろん、一番気の毒なのは、ここに住んでる人達ですけどね。
そして、「戦争が起こらなければ、この町に異常な戦場が発生する事も無いし、ジェレミー軍曹も危険中毒にならずに済んだはずなのに」という方向に思考が進んでいき、これまでの戦争映画同様、「戦争反対!」というような事を思う事になるのでした。
個人的評価 37点 (50点満点中)
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
◎肯定度 ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
◎評価度 ★★★★★ (客観的に評価してみる)
◎おススメ度 ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
◎クルーニー度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)
さて。今回のクルーニーの役どころは、リストラを敢行しようとしている企業に雇われ、代わりにクビを宣告する、「クビ宣告代行人」という、不況ならではな職業に就いている男です。でも、リストラをしなきゃいけないほど金に困ってる企業が、わざわざ金で人を雇って代わりにクビ宣告をしてもらうなんて、あるんですかね。「ソイツを雇い続ける事で発生する人件費よりは安くつく」という事なんでしょうか。
で、この「主人公が仕事をする描写」という辺りで、突然クビを切られた人達の悲痛な叫びや訴えというものを、見ていて深刻で重苦しくならない程度に見せてきます。これは、今現実に全米で(日本でも)巻き起こってる事ですからね。社会派的で興味深いメッセージです。
でも、このリストラ関連は、映画のテーマ的には、枝葉の部分でしかなくって、どうも、根幹をなしているのは、「人は結婚すべきか、独身でいるべきか」みたいな所にある、という印象のストーリーなんですよね。う〜む、これはあんまり関心の無い話題ですねぇ。
主人公は、年に300日以上出張していまして(アメリカ中の企業から依頼が来る為)、一応、帰る家は持っているものの、まあ、ほとんど帰る事は無いわけですよ。要するに、「家族」や「家庭」というものを持っていない人なんです。
で、ストーリーが進むにつれ、研修の為に出張に同行させていた新人の若い女と、結婚観について議論したり、気の合う恋人が出来たり、妹の結婚式に参加する事になったりといった話が出てきて、そのうちに、「自分がいかに孤独だったのか」というのに気付いていくんです。
でも、この主人公が、出張の毎日で家庭を持たないという今の生活が「非常に気に入っていて、マイルを溜めるのが楽しみでしょうがない」という描写が序盤に出てくるんですけど、これが、見ていて本当に楽しそうなんですよね。別に、こういう生き方をしている人がいても悪くないだろうし、実際にいるんだろうと思います。むしろ、ちょっとした憧れすら抱いてしまうぐらいですよね。
そして、主人公だって、この生活スタイルを気に入るきっかけとか、家庭を持ちたくない理由というのがあったと思うんですけど、そういう面の主張が全然無いんですよね。まあ、もしかしたら「習慣で続けていて、いつの間にかそれが自分で気に入っている生活スタイルだと思いこんでいた」という事なのかもしれないですけど、前半の主人公の様子を見る限り、特に不自由の無い、快適な生活のように見えました。逆に、「家族と家庭を持つ」という生活の方が、本当に今の生活よりもいいのか、という面において、あんまり説得力が感じられませんでした。
別に、悪い事を主張しているわけではないんで、映画のメッセージに対して反抗するわけではないですけど、何と言うか、別に今更問われなくても、当たり前の事なんじゃないかと思うんですよね。それよりも、「年間300日以上出張」という、我々庶民とはかけ離れたライフスタイルに対する新鮮さと羨望の意識から、映画に対して「野暮な事言わずに、主人公の好きにさせてやれ」とか思ってしまいましたねぇ。