※点数は、独自の基準で弾き出したもので、その映画の「完成度」ではなく「どれぐらい好きか」を表しています。
僕たちは、ひとりじゃない。 SUPER 8/スーパーエイト
<SUPER 8>

 個人的評価 33点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎エンド・クレジット度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


スーパーエイト・オブ・ザ・デッド <個人的感想>
予告編を見る限りでは、一体どんな映画なのかがいまいちよく分からなかったんですが(そういう意図の宣伝なんですけどね)、見てみたら、少年少女が地元の町で大冒険を繰り広げるという、『グーニーズ』と同じタイプの映画でした。そして、過去のスピルバーグ映画の諸々を思い出させるような場面が多々出てくるという、スピルバーグ・オマージュな映画でもあるようです。
これは、私にとっても、決して苦手な内容なんかではなく、むしろ好物に近いはずだったんですが、「面白かった!」とストレートに言い難いという印象が残ってしまいました。いや、確かに面白い映画でしたし、見てる間は私もそれなりに楽しんでいたんです。感動すらしたぐらいでした。
でも、思い返してみると、何故か、それほどでもなかったような気になってくるんですよね。
で、一体、どうしてそんな事になってしまったのかを考えてみたところ、どうも、主役の少年少女が私にとって、あんまり魅力的なキャラクターではなかったから、のような気がしてきました。何と言うか、どちらも、あまりに優等生過ぎて(ついでに顔も整い過ぎてて)、全ての展開がウソ臭く思えてしまったんですよね。「こんな奴いねぇよ」みたいな。
そんな事言ったら、他のほとんどの映画のヒーロー・ヒロインが「こんな奴いねぇよ」系のキャラなんですけどね。それが、なんでこの映画に限り気になってしまったのかは、もっと、自分の深層心理の奥深くを覗き込んでみないと分からなそうなので、面倒なので追求しない事にします。
あと、これも他の映画でも時々見られる点ながら、他の映画では全く気にならないという点なんですけど、「列車の破片やら砲弾やらがバンバン飛び交う危険地帯を、子供達がほぼ無傷で潜り抜ける」という所のリアリティの無さも何故か気になってしまったんですよねぇ。まあ、一人負傷したのもいましたけど、本来なら、生きて抜けられるだけでも奇跡みたいな状況なんですからね。
多分、冒頭からしばらくの人物紹介等のくだりにおける、「見事なドラマ描写」があったおかげで、私の中での、この映画に対する「リアリティの基準」が、現実的方向に上がってしまったんじゃないかと思うんですよね。アクション映画ではなく、ドラマ映画寄りと言うのか。
だから、この映画の大迫力スペクタクルシーンも、『グーニーズ』みたいな雰囲気の映画の中で出てきたんなら、素直に、アクション映画的に喜べたんだと思うんですけど、この映画の場合だと「急にウソ臭くなった」みたいに思えてしまったんでしょうね。
でも、この映画のどこかに、私の興味や嗜好を惹きつける「何か」があれば、そういう面を自動でスルーしたり、いいように解釈したりといった事が出来たと思うんですけど、生憎、そういう、「支持したいと思う面」がこの映画にほとんど無かったんですよね。
主役以外の少年達のキャラクターとか、子供達が自主映画でゾンビ映画を撮っている、という点は良かったんですが、まだ、映画全体を支持したくなるほどの魅力は無かったようです。

と言う訳で、非常に残念な結果となってしまいました。ちなみに、この「残念」というのは、映画の出来ではなく、せっかくの面白い映画を、くだらない理由で楽しめなかった自分が残念という意味です。何か、最近、こういう印象が出てしまう映画が多い気がするんですよねぇ。『RED/レッド』なんかもそうでしたし、困ったもんですなぁ。


共存か、支配か。その<起源>を目撃せよ! X−MEN:ファースト・ジェネレーション
<X-MEN: FIRST CLASS>

 個人的評価 48点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★★ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★★☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎ベーコン度  ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


「世界は、このベーコン様が頂くのだ!」 <個人的感想>
「シリーズ最高傑作!」との呼び声も高い、シリーズ5作目にして、ストーリー的には1番目となる今作。 個人的には、3作目の『ファイナル・ディシジョン』が最高傑作で、それと比べると色々と不満な点もあったんですけど、映画としてのレベルが高いのは、多分『ファースト・ジェネレーション』の方なんだと思います。ストーリーの面白さや、アクション面、ドラマ面の演出、配役、全ての面において、「出来の良さ」というのが感じられたものでした。
あと、『スパイダーマン』1作目とか『バットマン ビギンズ』、『アイアンマン』なんかも含めて、こういう、「ヒーロー誕生を描いたストーリー」というのは、やっぱり面白いんですよね。今回は、ヒーロー誕生と言うより、「ヒーロー組織誕生」と「悪役誕生」ですけど。
そして、敵と味方、両組織のボス同士の過去の因縁話(出会い〜友情〜決別)というドラマチックな面まで出てくるんですからね。
ただ、「何故チャールズとエリックの二人は決別する事となり、エリックはマグニートーになったのか」、という面に関しては、1作目を見た時に、セリフの端々から想像したもの以上のものは出てきませんでしたけどね。要するに、お互いに相容れない思想を持っていたから敵味方に分かれる事になり、エリックが敵となったのは、収容所での体験が原因と。
でも、この時代を映画化するのなら、この辺りの、二人の関係性とか内面の葛藤みたいな面がもうちょっと掘り下げられるのかと思ってたんですけど、何か、一作目で語られた以上の事が出てきてない気がしてしょうがなかったですね。
エリックは、親の仇である、元ナチスのミュータント、セバスチャンという悪党に復讐するのが目的なのですが、最終的に、その憎むべき悪党と自分がほとんど変わらない言動をしている事に気付く事となります。
ですが、そこに行き着くまでに、チャールズと出会い、信頼出来る親友という関係になり、「怒りや憎しみだけでは自分の本当のパワーを引き出せない」というのを学んだりといった事があったので、この映画だけ見ると、普通なら、最後はエリックはそのまま悪の道に行かない方が自然な展開のような気がするんですよね。
それなのに、セバスチャンの後釜みたいな位置に自ら行く、というのは、「もう、後にマグニートーになる事はコミック等で決まってるから」以外の理由が無いとしか思えませんでした。なので、最後に“エリック・レーンシャー”から“マグニートー”になった時も、セバスチャンのマネっ子程度の、小悪党に見えてしょうがなかったです。
まあ、それも、セバスチャンというキャラが、演じるケビン・ベーコンのせいで、メチャクチャ魅力的な悪役に思えていたから、相対的に小物に見えるというのもあるかもしれないんですけどね。
元々悪役演技に定評のあるベーコンですけど、今回は、スーパーパワーを持った、超強い悪役なうえに、何の葛藤もなく世界制服を目論むような、清く正しいまでに分かり易い悪役でしたからねぇ。ベーコンは好きな俳優ですけど、これまで、私が好んで見るような映画(大作映画とか)にはあんまり出てこなかった人ですからね。手榴弾を手の中で爆発させて、その爆発エネルギーを吸収してみせるベーコンの姿を見た時は、「ついに、ベーコンが私の世界に来てくれた!」と大感動したものでした。

と、マグニートー誕生の面に関してはイマイチ納得いかない所があったんですけど、「何故、若き日のマグニートーは、チャールズと友情関係を築いていたのか」という面は、きちんと納得がいきました。
実のところ、マグニートーことエリックは、途中に何があろうが、もうあの収容所の時点から、後にマグニートーになる事が決まってるキャラなわけですけど、そんなマグが、相容れない思想を持つチャールズと一時でも親友でいたのは何故なのかというと、まず一つは、自分と同年代のミュータントであり、お互い、ミュータントの今後について考えを持ち、先頭立って行動しようという意思を持っていたという事。そして、自分の辛い過去の情景を、テレパシーのビジョンではあるものの、共有して、同情してくれた相手だから、というのがあると思うんですよね。やっぱり、こういう、人に話せないぐらい辛い過去というのを、何も言わずとも分かり合ってくれる相手というのは必要じゃないですか。
で、エリックがチャールズに心を許した理由が分かるからこそ(私の読み違い&解釈違いの可能性もありますが)、余計に、さもレールの上を進むかのようにマグニートー化するのに納得がいかなかったんですよね。いや、マグニートーになるのはいいですけど、セバスチャンとほとんど同じ言動をする悪党にならなくてもいいだろうと。「最終的に、エリックがトラウマを乗り越える」みたいな展開の方が感動的だと思うんですけどね。まあ、それだと、「エリックがマグニートーにならない=後のシリーズと話が繋がらない」という事になるんですけど(それはそれで困るし・笑)。


操作された《運命》に、逆らえ。 アジャストメント
<THE ADJUSTMENT BUREAU>

 個人的評価 30点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎超常ラブストーリー度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


握手会で人気度アップを狙うぜ <個人的感想>
予告編の雰囲気や、「フィリップ・K・ディック原作」という所から、『マイノリティ・リポート』や『ペイチェック』みたいな感じのアクション・サスペンス映画なんだろうと信じて疑ってなかったのですが、その中身は、まさかの恋愛物ですよ。これは驚きましたねぇ。
予告にもある通り、主人公は怪しい組織によって運命を操作される、みたいな展開はちゃんと出てくるんで、例えば、『シティ・オブ・エンジェル』や『ゴースト』のような、超常現象が絡む恋愛映画に近い感じですかね。主人公の目的は、運命に逆らって意中の女とくっつくというもので、決して世界を救ったり、陰謀を暴いたりはしないんです。もちろん、敵と戦うアクションシーンもありません(終盤で何人か突き飛ばしたぐらい。あ、あと一発だけパンチを放つシーンがあったか)。
これは、本来なら、予告の印象と違くてガッカリパターンだと思うんですけど、これはこれで面白かったですね。人物描写が丁寧だったのか、結構感情移入しながら見れまして、主人公とヒロインがくっつくのを、見ながら応援したくなるぐらいでした。
それに、画面の雰囲気とか音楽や演出なんかは、予告編同様、サスペンス・アクションっぽい感じで統一されている辺りも、このミスマッチな感じが見てて何か面白かったですね。あと、主人公の職業が政治家というのも予想外でしたし、序盤で上院選に落選する事となる原因が「下半身露出」というスキャンダルだったのも意表をつかれたものでした。この話も何か唐突に出てきて、そのクセ、前後の状況は観客には全く伝えられないうえに、映画を最後まで見ても、主人公がそういう事をするタイプの人間に思えないんで、「一体、何があったんだ」と非常に気になってしまいます(単に、酔ってハメを外してしまっただけなのか)。
このように、見る前の「きっとこういう映画だろう」という予測をことごとく外してくるうえに、ストーリーもそれなりに面白いという事で、本来なら興味の無いジャンルの映画なのにも関わらず、結構楽しんで見る事が出来ました。

その泉をみつけし者は、“永遠”を手に入れる・・・ パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉
<PIRATES OF THE CARIBBEAN: ON STRANGER TIDES>

 個人的評価 38点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎スパロウ度  ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


これが今回のブラック・パール号だ <個人的感想>
全世界待望の4作目です。まず、てっきり3作で完結かと思っていたのに、前作からこんな短い間で新作が出てきたというのが驚きでしたね。これまでのハリウッドでの大作シリーズの中でも珍しいんじゃないだろうか。「『3』で一旦終わったと思ったところ、20年近く経って復活」というのがパターンでしたからね。
まあともかく、こういう大きいシリーズが普通に続いてくれるというのは嬉しい話ですよ。例えそれが、特に好きでも期待しているわけでもないシリーズでも、です。
そう、実は私、このシリーズに対する思い入れがほとんど無いんですよね。シリーズ中、本当に楽しめたのは2作目だけで、後は、「まあ、普通」という感じなんですよね。3作目は大作感はバリバリあったんで、見ていてそれなりに楽しくはあったんですけど、1作目は、未だにどの辺りが面白いのかがよく分かりません。
もちろん、つまらないわけではないですし、ジャック・スパロウのキャラクター他、いい面もあるんですけど、かと言って、「面白い!」と言えるほど見てて楽しくも無いんです。ほんと、「普通」なんですよね。
で、それに加えて、1作目の時は、ブラッカイマー製作の大作映画の割に、「大作感」というのがあんまり感じられなくって、その辺りもちょっと物足りない気がしたものでした。そして今回の4作目ですけど、その、1作目を見た時とほとんど同じ印象だったんですよね。「大作なのに小ぢんまりとした感じ」「つまらなくはないけど、面白くもない。ただただ普通」「アクションシーンがヌルい」「ジャック・スパロウのキャラクターは面白い」「音楽は素晴らしい」「豚さんが出てきた!」と。
もちろん、内容は全く別のものなんで、私がたまたまそう感じたという話なんですけど、でも、いい意味で1作目の雰囲気を復活させようという思惑は多分、製作側にもあったんじゃないかと思いますね。要するに、前2作で派手になり過ぎたのを、もうちょっと、落ち着いた感じに戻してみようじゃないかと。元々はディズニーランドのアトラクションの映画化なんで、そんな、超大作化する必要も無いと言えば無いわけですよ。私にとっては寂しい事態ですが、1作目が好きだった人にとっては、きっとこれで良かったんでしょうね。

ただ、今回、内容が、「海賊映画」というよりも、『インディ・ジョーンズ』を思い出させるような、秘境探検物みたいなストーリーになってるんですよね。実は、この辺りは1作目のファンにとっても評価が分かれる所だと思うんですけど、どうなんでしょう。だって、スパロウが船長として船を操ったりだとか、船対船の海上バトルとかが無いんですもんね。ジャングルをウロつくシーンは出てますけど。何か、下手したら、この間の『ナルニア3』の方が船上のシーンが多かったんじゃないかと思うぐらい、海の印象が無いんですよね(しかも、あっちには、船の上で巨大な化物とのバトルシーンなんてのが出てきましたし)。
ちなみに、私は、海上が主な舞台の海賊映画より、ジャングルが舞台の冒険活劇映画の方が全然好きなんですけど、何か、見ていてしっくりこない感じがしたものでした。

でも、何だかんだいって、ジャック・スパロウがいれば、それだけで『パイレーツ・オブ・カリビアン』なんだと言ってもいいようなシリーズですからね。肝心のスパロウが相変わらず魅力的に描かれているんだから、いいじゃないかと。正直、そろそろこのキャラクターにも飽きてくる頃かな、とも思ってたんですけど、見るとやっぱり面白いんですよね。
それに加えて、何気にシリーズ皆勤賞のキャプテン・バルボッサも、シリーズを重ねる毎にいいキャラになってきてるような感じで(2作目は一瞬しか出ませんでしたが・笑)、非常に魅力的な脇役となっていました。演じるジェフリー・ラッシュの実力もさることながら、ちょうど、スパロウと対になってるような海賊キャラなのがいいんですよね。スパロウが異常で特種な雰囲気の海賊なのに比べて、バルボッサはオーソドックスな海賊の頭領みたいな感じで。あと、汚い手段を使う場合も、スパロウは何だかんだで主人公っぽい、やっても好感度下がらない程度の汚さなのに対し、バルボッサは悪党ならではな所業も平気でやるといった感じがあるんです。

さて。また次回作もありそうな終わり方でしたし、次が作られたら、きっとまた見に行く事になると思います。多分、見ても「普通」としか思えないでしょうけど、でも、「とりあえず一回は映画館で見ておきたい」と思わせる魅力はあるシリーズなんですよね。


人生を奪還する闘いが、今始まる。 アンノウン
<UNKNOWN>

 個人的評価 45点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★★ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★★☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎ストーリー面白度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


チラっ <個人的感想>
学会での発表の為に外国にやってきた教授が事故に巻き込まれ、数日昏睡状態に。そして目が覚めると、誰も自分の事を知らないばかりか、自分と同じ名前の人物が代わりに存在していた。 という、驚きのストーリーのサスペンスドラマを、『96時間』がすっかり代表作となったリーアム・ニーソンが演じています。
で、『96時間』同様、リーアム・ニーソンがまたイイんですよねぇ。背が高くてダンディで、教授役もよく似合う知的さもあって。
事故後、何者かに、自分と、自分の居場所を乗っ取られたような状態になって、「事件の真相を探したいが行く当ても無い」みたいな感じで寒そうな街をウロつく、という展開になるんですけど、この辺り、どこか『逃亡者』っぽくて良かったですね。何か、今のリーアム・ニーソンには、90年代のハリソン・フォードに通じるカッコ良さとスター性があるような気がします。いや、さすがにスター性は劣るかもしれないですが、代わりに、ハリソンには無い、「背丈」がありますしね(笑)。
また、事故の影響で記憶も結構抜け落ちていて、「半記憶喪失」みたいな感じなんですけど、この辺りの設定は、ちょっと『ボーン・アイデンティティー』っぽい感じの面白さがありましたね。まあ、実は「ちょっと」どころじゃないぐらい似通ってくるんですけど(笑)。
ストーリーの謎は、答えを知っていれば、意外性も新鮮味も無い話なんですけど、真相をうまく隠して話が進んで行くんで、真相が語られた時は素直に驚いたものでしたね。「そう来るか!」と。
まず、最初に主人公が置かれるのが、「自分の立場に、同姓同名の他人が入れ替わっている」という、超常現象的な事態なんで、「これは絶対宇宙人の仕業だな」と思ってたのに、超常現象が全く関わってないうえに、「別の自分がいる」という点に関して実に納得のいく真相が出てくるんですよねぇ。これは面白いストーリーだと思いましたよ。
途中からアクションの要素も入ってくるし、主人公の手伝いをしてくれる、元秘密警察の爺さんもいいキャラだったし、ヒロインも美人だしと、最初から最後まで、隙無く面白い、最良の娯楽映画でした。まあ、確かにストーリーの一部に隙はあるんですけど、スルースキルを駆使したおかげで、大した欠点とも思えずに済みました。

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まだ世界が知らない──
悪魔祓いの真実 ザ・ライト -エクソシストの真実-
<THE RITE>

 個人的評価 30点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★☆☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎信仰度    ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


「今回は人は食わんのじゃ」 <個人的感想>
悪魔祓いの映画、と言えば、『エクソシスト』という金字塔がおっ立っているジャンルです。ですが、『エクソシスト』ももう20年以上前の映画です。あの当時としては「近未来」である2011年現在において、相変わらず、取り憑いた悪魔と神父の戦いがいまだに、同じ形で続いているというのが驚きですよね。もう、伝統芸能の域に達してるのかもしれません。
悪魔憑きのみならず、当時は信じられていた超常現象のほとんどが、科学や精神医学の発達によって解明されている現在、改めて悪魔祓いの映画を見る意味とは何なんでしょうか。
それは、やっぱり、ほぼ全ての現象に説明がついてしまった今の世だからこそ、説明のつかない、神秘的で異常な事態を目撃したいと思うからなのではないでしょうか。
という訳で、この映画は「悪魔はこの世に存在する!」というのが大前提になっていて、「もしかしたら、何か説明のつく現象かもしれない」と思う余地を全く残していない、潔い作りとなっています。
ですが、例えば、悪魔が実際にその姿を現したりといった、荒唐無稽な方向には行かず、現実味たっぷりに、「悪魔が存在する」という事を描いているんですよね。
と言っても、リアリティを出す為に、ドキュメンタリータッチの撮り方をしたりみたいな事はせず、演出は至って淡々としたものです。「ウソ臭く思えてしまう、余計な要素のみを一切排除」みたいな感じでしょうか。
さらに、主人公は悪魔の存在に懐疑的というスタンスをずっと貫いている事もあって、表面上は全ての現象に合理的な説明のつけられる、現実味溢れる世界観として描かれているんです。
で、超常現象好きの端くれである私としては、こういう、「現実的な世界があって、そこに、リアリティを伴ったまま、説明のつかない事態が入り込んでくる」という手法には大変惹かれるものがあるんですよ。いや、最初から悪魔なり超常現象なりが、自己主張する気満々で出てくるようなのも好きですけど、どっちにしろ、リアルとフィクションの割合が中途半端だと、やっぱり、見てて興醒めしてしまいます。
で、この映画の面白い所は、そういう、リアル志向で超常現象を演出していながら、超常現象そのものではなく、主人公の成長と、真の信仰心を得るまでのドラマをメインとしているという事ですね。
まあ、そのせいか、ホラー映画としては相当に退屈で、大した見せ場の無い超地味な映画にはなってしまってるんですけど、これはこれでいいんじゃないでしょうかね。どうせ、「怖さを追求した悪魔祓い映画」を目指した所で、『エクソシスト』に敵うわけもないんですし。

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誰も知らないナルニアへ。 ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島
<THE CHRONICLES OF NARNIA: THE VOYAGE OF THE DAWN TREADER>

 個人的評価 37点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎ファミリー向け度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


「これは、ライトセーバー!?」 <個人的感想>
ディズニーの手を離れ、FOXに移って作られた3作目ですが、驚くことに、今回、思いっきり、子供向け仕様になっていたんですよね。流血が無いのは勿論、死亡者すら出ないという有様ですよ。
ディズニー時代がこういう内容なら、ブランドイメージ的に違和感は無いと思うんですけど、『エイリアン』や『ダイハード』のFOXに移ってこうなるというのは意外でした。
ただ、個人的にはある程度ハードなのが好みではあるものの、前作を見る限り、『ナルニア』の映画で『ロード・オブ・ザ・リング』のようなハードさはどうも期待出来そうにもないようなので、この変更はむしろ潔いとも言えるのかな、とも思います。前作で気になっていた「主役の子供達が、“何のためらいもなく”敵を殺しまくる」という描写が無くなったわけですしね。そして、その代わり、これまで完全な非戦闘員だったルーシーが、普通に剣やダガー、弓矢などで戦闘に参加しているという、新たな気になる点も出てきましたが、まあ、ファンタジー世界なんだから、何でもアリという事でいいでしょう。とりあえず、敵を殺してはいないですしね。

この、内容がライトになったという他に、前2作と違う点がありました。まず、主要人物が2人減って、新キャラが1人増えた点。それと、仲間の動物がネズミ(あと、ミノタウロス)のみになったという点です。
最初の変更は別に問題無いんですが(4兄弟の中で、面白味の無い2人が抜けたので)、2番目の、仲間の動物の減少はかなり残念でしたねぇ。正直、このシリーズの一番好きな点が、「動物さんと一緒にたたかう」でしたからね。当然、イノシシも出ないし、クマーすら出ずじまい。ちなみに、2作目の感想で、イノシシの不在を嘆いていたんですが、後にテレビ放映で見直した際、クライマックスの合戦の場にしっかり参戦してるのに気付きました。よく見ないと気付かないような出方ではありましたが、こういう隠れキャラ的な出方でもいいから、今回も顔を出して欲しかったですねぇ。
そう言えば、新キャラの少年が、マッチョのミノさんに「子豚」と呼ばれバカにされるシーンがあったんですけど、この世界にも豚はいるんですね。果たして、ナルニアの豚は、他の動物のように喋れるのか、それとも、鳥のように喋れない、やっぱり食用なのか、というのが気になってしまいます。
何か、ほとんど映画の感想とは別の方向に行ってしまいましたが、要するに言いたいのは、残念な変更点があったという事ですよ。何でそうなったのかと言うと、今回、船旅がメインで、仲間の人数も限られていたからなんですよね。船もあんまり大きくなかったですし、これではクマやらイノシシやらを乗せてる余裕は無いというものです。
この、船で旅をするというのはアドベンチャー映画的な面白さがあって良かったんですけど、何故か、スケール感が全体的にあまり感じられなかったんですよね。大作っぽさが無いと言うのか。面白い映画ではあったんですが、前2作よりも小ぢんまりとした感じで、スケールダウンの続編みたいでしたね。
一応、これまで見かけなかった、ドラゴンや巨大シーサーペントといったデカキャラは登場しますし、CGの質も良いんで、貧乏臭い感じは全く無かったのは幸いでした。

と、続編物として残念な点の多かった映画ですが、キャラクターの面白味の面に関しては今回が一番良かったような気がします。特にセリフが面白くなったという事は無いんですけど、例えば、エドマンドなんかは「永遠の2番手」っぷりがいよいよ板に付いてきましたし(笑)、新キャラの少年は、リアクション時の顔と動きが出川にしか見えなくって、いつ、自分の事を「切れたナイフ」と言い出すかヒヤヒヤしたものでした。この緊張感は前2作には無かった。
ルーシーも、キャラクター的には特に面白味が増したという事は無かったんですけど、演じてる子役がかなり可愛らしくなってきてて、見ていて実に楽しかったです。いや、変な意味では無くて。
あと、ネズミも実にいいキャラでしたね。実は2作目の時は、こういうキャラがいた事すら忘れてしまって、テレビ放映を見て「ああ、そういえばこんな奴いたな」と思い出したぐらいでした(その代わり、大して出番もセリフも無い、クマの存在はよく覚えてたんですが)。ですが、今回は単純に出番が増えたというのもあるんですけど、かなり印象強かったんで、もうこのネズミの事を忘れる事は無いと思います。メインキャラとしっかり絡んでドラマ面を盛り上げていましたし、ラストも「謎の感動」といった感じの退場の仕方でしたしね。
と、主要なキャラ達に、それぞれ、個人的に何か印象に残るポイントがあったんですよね。これは前2作には感じられなかった点なので、良かったです。
ストーリー展開も特にダレるような所が無かったですし、誰も死なない割に「アクションシーンが少ない!」とほとんど思わせなかったぐらい、見せ場は定期的に出ていましたし、面白い映画だったと思います。


死に触れて、前を向く ヒア アフター
<HEREAFTER>

 個人的評価 38点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★★☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎イーストウッ度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


「残像だ」 <個人的感想>
ここ数作、私のような豚脳の持ち主でも、一発で面白さが理解出来る、分かり易い映画を撮っていたイーストウッド御大ですが、久々に、難易度高めの、初見で面白さがいまいち分からない映画というのが出てきました。
ただ、ストーリー自体は単純なものなんですよね。それこそ、同じような話が、TV局主導の邦画で出てきてもおかしくないぐらいのお話だったと思います。もちろん、この映画の場合は、イーストウッド印な語り口によって、高尚な話を見てるように感じられるんで、陳腐だとか思う隙は全く無いんですが、話自体は特に珍しくもない、普通のものだったと思います。
で、問題はこの話でもって、御大は何を訴え、何を語ろうとしているのか、というのがよく分からないんですよね。
ストーリーの面白さが「普通」なんで、テーマを読み解く事がこの映画を楽しむ上で必要不可欠な点だと思うんですけど、これがよく分からなかった為、初見時には、最近作を見た時ほどの面白さは得られませんでした。
まず、超常現象を扱った映画ですが、その現象(死後の世界が存在し、そこにアクセス出来る能力というのも存在する)が「本当にあるのか、それとも妄想の類なのか」という点が曖昧にされてるわけでもなく、もう、確実に「存在する」というのが前提になってる話なんですよね。
何か、最近の御大の映画にしては珍しいなと思ってしまいます。むしろ、シャマラン先生辺りが好みそうなネタという感じですし。
この点をボカしてないという事は、この映画のテーマは、本当に「死後の世界について」という、そのままのものでいいんでしょうかね。でも、これは確かに興味深い話ではあります。全ての人が必ず向かう所ですからね。
その、誰もが行く事になる場所に、今とは違う、別の場所(死後の世界)があり、人は死んでも、決して無になるわけではない、という事を描いた、イーストウッド流のファンタジー映画、という事なんだろうか。
去年の『ラブリー・ボーン』も死後の世界を描いたファンタジー映画でしたけど、あの映画よりも、よりリアルで大人向け、という印象です。その分、激しく感情を揺さぶられるシーンは無いですし、視覚的な面白さもありません。でも、どちらも、死と、その後に待っている物、死別した大切な人が行ったであろう場所について思いを馳せ、考えさせられる映画なんですよね。
どちらも、陳腐なお涙頂戴話になりがちな題材ですけど、巨匠が撮ると、心に沁みるいい映画にちゃんとなるんですよねぇ。まあ、この映画の場合は、「実はテーマは全く別の所にあり、死後の世界のお話なんかじゃありません」という可能性もあるんですけど(笑)。

天才
裏切者
危ない奴
億万長者 ソーシャル・ネットワーク
<THE SOCIAL NETWORK>

 個人的評価 42点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★★ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★★★ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎天才ってすげぇなぁ度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


GAP <個人的感想>
見る前にこの映画に期待していたのは、「未だによく分からない、“フェイスブック”というのが、どういうものなのかが分かるようになるかもしれない」というのと、学生が一発当てて大金持ちになるという所から、「もしかしたら、自分にも、こういう事が出来るのでは?」という夢を見たいから、というものでした。決して、映画が面白いとか、満足出来るかという面には期待してなかったんですが(いい映画だろうけど、私が見て面白い映画ではないんだろうなと)、これがまあ、本当に面白い映画で、ビックリしましたね。
フィンチャーが、ここ数作(と言っても、2作か)、「評論家や映画ファンに喜ばれる、有り難い映画を撮る巨匠」という位置に行ってしまった事に対して、常々「惜しい人を無くした」と思っていたんですが、ここまで面白い映画ならばしょうがないかなと思います。
ただ、こういう映画はフィンチャーじゃなくても、その辺の巨匠の方々なら誰でも撮れそうな気がするんですが、『セブン』や『ファイト・クラブ』のようなクセのある異常な映画は、フィンチャーにしか撮れないんで、やっぱり、こっちの世界に戻ってきて欲しいと思いますねぇ。

で、この映画の何が面白いかって、やっぱりストーリーですよね。そして、その面白い話を非常にテンポ良く見せていくんです。登場人物達も、みんな早口気味ですし、話はどんどん先に進みますし、見ててダレる瞬間が全然無いんですよね。
フィンチャーの過去2作からすると、この映画も2時間半とか3時間近くあってもおかしくないところだと思ってたんですけど、2時間で納めてくれましたからねぇ。正直、今回のフィンチャーの仕事ぶりの中で、これが一番凄い点だと思います。
とにかく、こういう、本来ダレる所が出がちなドラマ映画において、このスピード感は大したものでした。2時間もあっという間という感じでしたからね。まるで、アクション映画を見てるようです。
さて。一方、当初期待していた面ですが、まず「フェイスブックとはなんぞや」という点ですが、映画では「知ってて当然の大前提」という事で、詳しくは語られずじまいでした。でも、「友達を作る為のコミュニケーションツール。でも、出会い系ではない」という事は分かりました。
そしてもう一方の「一発当てる夢を見たい」ですが、見てる間は、「結局、この人が天才だから金持ちになれたのか」とガッカリしていたんですが、見終わってからつい、ネットを使った金儲けの方法を模索、と言うか、妄想していたんですよね。確かに、マーク・ザッカーバーグは、まさに、度を超えた天才で、天才だからこそ成功を収められたわけですけど、フェイスブック自体、特に「画期的な発明」というわけでも、特殊なプログラムが必要だったという事も無いんですよね。要するに、たまたま、時流を捉えたサービスを発明した為に成功出来たともいえますし、しかも、この元々の案も、ザッカーバーグが一から考え出したものではなく、ハーバードの上級生がやろうとしていたものを、天才流の改良を加えてオリジナル化したものなんですよね。
だから、既存のサービス等を、何か、今の隠れたニーズを汲み取れる形でウェブ上に出せれば、それこそ、私でも一発当てる事は不可能ではないのではないかと思うのですよ。
いや、実際は色々な事情で無理でしょうけど、少なくとも多少の現実味を伴った妄想の中では十分可能という事で、映画館からの帰り道では、チャリを漕ぎながら、楽しい空想をする事が出来ました。
という訳で、当初の期待にもそれなりに応えてもらえましたよ。なんて素晴らしい映画でしょう。

ちなみに、このザッカーバーグという人の、天才故の孤独みたいな面が描かれていたんですが、何か見ていて、スパイダーマンとかの「ヒーロー故の孤独」と似たカッコよさを感じてしまいましたね。
だいたい、この人の頭脳がもう、ほとんどスーパーパワー級なんですよね。一応、権力に対する反抗心からフェイスブックを巨大化させていった、みたいな描かれ方をされてるんですけど、そこまで権力に敵意を持っていたのかなと思うんですよね。フェイスブックのオリジナルともいえる、ハーバードの学生データベースをやろうとしていたエリート兄弟が、ちょっとした敵役風になってるんですけど、何か、ほとんど眼中に無い、みたいな感じでしたからね。ザッカーバーグにとってこの兄弟は憎むべきエリートではなく、その辺のザコと同程度の認識しかしてないように見えたものでした。
で、こういうエリートは私にとっても敵みたいなものなので(こちらは単なるやっかみからのものですけど)、そんな奴らを歯牙にもかけないザッカーバーグが何かカッコイイなと思ってしまいました。
でも、そんな天才にも、やっぱり心を許せる友人、もしくは彼女が欲しいと思っているらしい、というのがまた人間臭くていいんですよね。
そういう、孤高の天才の人間臭さが出ていたあのラストシーンは素晴らしいと思います。あのラストシーンを見て、改めて「この映画を見に来て良かった」と思いましたね。
こういう天才を描いた映画の場合、時に振り回される周囲の人が気の毒に思える時があるんですけど、あのイケメンの友人とか、本当に足を引っ張ってるようにしか見えないぐらいでしたからね。きっと、この人も相当頭がいいんでしょうし、金も持っているという無敵っぷりなんですけど、それ故に、ザッカーバーグに対しても、ただ従うだけという地位には我慢出来なかったんでしょうね。プライドもあるでしょうし。でも、今回は相手が凄過ぎなんだから、庶民に毛が生えた程度の秀才は、大人しくイエスマンにでもなっていれば、もっと稼げる地位につけたのにになと思ってしまいますよね(ただ、それは、ザッカーバーグが欲しい友人像では決してないでしょうけどね)。


遂に、本当の衝撃映像が明かされる。 パラノーマル・アクティビティ2
<PARANORMAL ACTIVITY 2>

 個人的評価 35点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★☆☆☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★☆☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎怪奇現象度  ★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


ドアの向こうに何かがいる、
とでも、
言うのだろうか <個人的感想>
心霊ファンの私としては、前作での怪現象の見せ方や演出、映画全体の雰囲気なんかはもう、たまらないものがありました。
ですが、基本的には同じ内容のこの続編には、こういった面白味があまり感じられなかったんですよね。
まず、観客の怖がらせ方が、ビックリ演出を多用するタイプになったのと、映像が「室内に仕掛けられた監視カメラの映像」という事でアングルも増えたんですが、その反面、前作にあった珍しさが無くなって、普通のお化け屋敷映画みたいになってしまったんですよね。
まあ、他の家物系映画とは違う、パラノーマルならではな空気感というのもあるんですが、2作目という事でこっちの脳が慣れてしまったのか、前作ほどの刺激は感じられませんでした。
要するに、基本的に同じような中身ながら、至る所が劣化している、という続編なんですよね。でも、『ブレア・ウィッチ〜』のような、「一発屋臭」というのが強烈にただよっているタイプの映画ですし、もう見る前から「『2』が面白くなってるわけがない」と思っていたので、あんまりガッカリしなかったですけどね(笑)。
それに、私としても「前作のような雰囲気の映画」を見たかったわけですが、劣化しているとはいえ、基本的には前作と同じような内容なので、まあ、見たいものは見させてもらったわけですよ。

ちなみに、今回のストーリーは、前作の続きではなく、前日譚という事になっていて、あの怪異が、何が原因でどこから来たのか、というのが語られてきます。
で、その怪異の発生の原因を登場人物が調べるわけですが、ネットで調べただけでいとも簡単に判明するという脚本には実にシビれましたね。きっと、グーグルで調べたら出て来たんだろうなぁ。もう、今後、ホラー映画の主役が呪いや怪異に悩んだら、我々は「ググレカス」と思いながら見る事になっていくんでしょうねぇ。まさに、新時代の到来です。
でも、冗談抜きにしても、こういう面をくどくど説明したりせず、あっさり流してしまうというのは、この手の映画では正しいとも思いますけどね。実際、こちらは「演出や映像で、どう怖がらせてくれるか」というのに興味があるので、原因とか、ぶっちゃけどうでもいいんですよね。だいたい、もうある程度パターン化してるんですし(何が原因であろうと)。

あと、今回は前作よりもカメラの数が増えるんですが、それは、序盤で、舞台となる家に空き巣が入り、防犯対策として、家中に監視カメラを設置する、という展開になるからです。ちなみに、『REC』も2作目でカメラが増えましたが、それによって演出に幅が出るわけでは決して無い、というイヤな共通点があるのが何とも。今回の場合、むしろ、登場人物の視界外の映像が監視カメラで見えてしまうため、「そこに何がいるのか分からない」という、死角に対する恐怖感が無くなってしまったのは残念でした。
ただ、他人の家を覗き見るという雰囲気は向上してたかもしれません。何しろこの家、若い娘に、巨乳の若妻なんかが住んでたりするんで、そういう方々の住んでる家を広く隅々まで映す監視カメラの映像をずっと見ているというのは、なかなか、『ディスタービア』的な楽しさがあったりしたものでした(ただ、そういう面に関心が行かないような撮り方にはなってるんですけどね)。

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それは、アメリカが最も恐れた危険なオヤジたち… RED/レッド
<RED>

 個人的評価 37点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★☆☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎ブタのぬいぐるみ度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


モーガンお爺ちゃんのおめかし <個人的感想>
最近、アクション映画界において、50代60代の、お年を召した方々が活躍する機会が増えてきました。と言っても、皆さん、ただの年寄りではなく、かつては世界に名を轟かせた大アクションスターで、歳をとった現在もまだ現役で活躍し続けているバイタリティ溢れる方々です。なので、そういう方々の主演作も、若手が主役のアクション映画と比べても、下手したら迫力が勝ってるぐらいだったりします。
で、この映画は、そういう、「かつて凄かったけど、今も凄い」という年寄り連中が活躍するアクション映画なのですが、どうも、見ていて、凄味が感じられないんですよね。何しろ、この映画に出てくるメンバーの中で、アクション俳優が一人しかいないんですからね。
しかも、その唯一のアクション俳優であるブルース・ウィリスにしても、設定ほどのプロっぽさ&戦闘力の高さを感じられないんで困ってしまいます。「引退した元CIAの凄腕」と言うと、『96時間』のリーアム・ニーソンなんかもそうでしたけど、あちらは「いかにもプロっぽい」と思わせるような行動や強さをしっかり見せてくれましたけど、こちらは、「引退した、元タフガイ刑事」程度にしか見えないんですよね。それでも十分強い事は強いんですけど、驚きの無い、想定内の強さといった感じなんです。
まあ、コメディ要素の強い映画なんで、元々アクションの迫力方面に期待するのが間違いという事なのかもしれないですけどね。でも、それならば、『スペース・カウボーイ』みたいな、「老いを笑いに変える」みたいな面白さを出す方向に行ってくれたら良かったと思うんですけど、あの映画とは全く真逆で、衰えてる所は全く見せようとしないんですよね。そのクセ、アクションにはあまり迫力が無いというのが何とも・・・。

「年寄りなのに強い」という設定は確かに面白いものですし、私がこの映画の予告を見て「面白そうだ」と思ったのは、この点に惹かれたからでもあるんですけど、そもそも、言うほど年寄りというわけでもないですよね。結局、モーガン・フリーマンぐらいでしょうかね、本当の意味で老人に達してるのは。メンバー全員がこれぐらいの歳で強いというのならまだ珍しかったと思うんですけど、主役のブルース・ウィリスなんて、現役でテロリストと戦っていた『ダイハード4』の時と、外見がほとんど変わってないですからね。
『ランボー』や『インディ』の新作で、60代のシニア・アクションを見た今となっては、もはやこの程度では、珍しさも新鮮味も凄味も何も無いんですよね。
何かもう、全体的に、「もっと面白く出来なかったんだろうか・・・」なんて事を思ってしまう映画でしたねぇ。

ただ、スピンする車からブルース・ウィリスが普通に降りて銃撃を始めるという、予告でお馴染みのシーンは、アイデアも映像も独創的で、非常にいいアクションシーンだったと思います。そして、こういうシーンを、ウィリスのようなアクションスターにやらせているというのも嬉しい点です。
この面と、あと、アクション映画でたまに、敵のザコ兵士が、特に悪事に加担していたというわけでもなく、ただ上からの命令で、主人公達を敵だと教えられて襲ってくるというパターンがあるんですけど、この場合、主人公達がザコ兵士を殺していくアクションシーンを見て、「敵が気の毒で楽しめない」と思ってしまう事があるんですよね。でも、この映画の場合、そういう、悪事に加担してないザコ軍団を一切殺さないんです。
この2点だけでも、「いい映画」と言っていいかなとも思います。決して「つまらない映画」というわけではなかったですからね。新作映画としては物足りないというわけなので、後にレンタルかテレビ放映で見返した時は普通に楽しめるんじゃないかと思います。
あ、あと、前半の方に、マルコビッチがブタのぬいぐるみを小脇に抱えてウロつくという、素晴らしいシーンもあったんでした。しかも、これが実に可愛らしいブタだったんですよねぇ。ちょっとクセのある顔立ちでしたけど、「だが、それがいい!」と思わせる魅力のあるブタさんでした(ただ、用済みになったらポイ捨てされてましたけど・笑)。映画館の売店で売ってたら絶対買うのに。


この映画は、<事実>から産まれた。 アンストッパブル
<UNSTOPPABLE>

 個人的評価 37点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎等身大ヒーロー度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


暴走特急VSデンゼル! <個人的感想>
トニー・スコット監督、デンゼル・ワシントン主演という、黄金コンビによる映画です。
内容は、「暴走機関車を止める」というもので、特に珍しいお話というわけでもないですし、映画の中身も、予告で見たまんまのものです。では、何でそんな映画にわざわざ期待をかけて見に行くのかというと、やっぱり、ただの鉄道員が、危険を冒して暴走機関車を止めてヒーローになる様が見たいから、なんでしょうね。
鉄道員なんて、数ある職業の中でも、決して「花形」とは言えないものですし、大金が稼げるようなものでもありません。およそ、“ヒーロー”とは縁がない職業ですけど、でも、この世の大半の人が就いてる職業というのは、そういうタイプのものなわけですよ。
で、本来ヒーローに近いはずの職業である、スパイやら刑事やら、何かコンピューターを巧みに扱える頭のいい人やらではなく、単なる一介の労働者がヒーローになるという所に、同じような境遇にいる我々一般市民は強く惹かれるのでしょうね。
そして、こと映画の世界では、こういう暴走列車なんかは、超能力を持ったなんとかマンが現れて簡単に(いや、そこそこの苦労をする場合もありますが)止めてしまったりしますけど、たまにはこういう、現実味のある暴走列車止めも見たいじゃないですか。特殊能力ではなく、ベテランによる長年の経験と技術と勘、そして度胸と漢気といった人間味溢れる力で、頑張ってこの危険な仕事をやり遂げる姿に、我々は感動するわけですよ。

内容だけでなく、感動のしどころや興奮のしどころも、予告を見て思った通りでしたし、特に凝った演出も無ければ、派手なアクションシーンも金の掛かってそうなVFXシーンも無いという、言ってみれば地味な映画なんですけど、もう、監督の手の内で踊らされてるかのように、ストーリー展開に一喜一憂し、ドキドキハラハラしながら見入ってしまうんですよね。これぞ、スコット弟の演出力と、デンゼルの演技力のなせる技なんでしょうねぇ。主人公の機関士もベテランでしたけど、演じるデンゼルも監督のスコット弟もベテランですからね。スクリーンの内でも外でも、ベテランの経験と技術が活きているというわけなんですね。


特殊能力ゼロ、モテ度ゼロ、体力微妙──なりきりヒーローが世界を救う キック・アス
<KICK-ASS>

 個人的評価 42点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★★☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★★☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎等身大ヒーロー度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


ニセ・バットマン現る <個人的感想>
まだまだ人気継続中のヒーロー物映画ですが、今回は、「ただ単にヒーローに憧れているというだけで、特殊能力も財力も何も持っていない、ただのボンクラ学生がコスプレをしているだけ」というヒーローが出てきました。
しかも、このボンクラ度合いがまた凄いんですよね。冒頭で「どんな人物か」というのが描写されるんですけど、いわゆる、「イケてないグループ」のど真ん中みたいな位置にいる奴ですよ。他の映画のキャラで例えるなら、ピーター・パーカーから、スパイダーマンの能力と頭の良さを抜いたような奴、みたいな感じですかね。
もちろん、強くなんて無いですし、劇中も、主人公らしい活躍というのをほとんどしません。でも、その一生懸命さと物珍しさがウケて、瞬く間に人気者となっていくんです。
この、軟弱ヒーロー、キックアスのストーリーだけで映画一本作ってもいいぐらいユニークなキャラクターなのに、この映画には、他にももう一人、いや、もう一組のヒーローのストーリーも語られて行く事になるんです。
それが、ニコラス・ケイジ演じる、「バットマン風のコスプレをしたオヤジ」と、11歳ぐらいの娘(“ヒットガール”とか言ったか)のコンビです。
キックアスが、現実味のあるヒーローだったのに対し、こちらはかなりマンガ的なキャラクターで、ニコラスは戦うと超強いですし、娘の方も、圧倒的な体術と銃の腕、殺人の技術(ついでに、ちょっとしたガンカタ)を備えているという、ある意味、スパイダーマン以上にマンガなキャラです(マンガと言っても、アメコミではなく、どちらかと言うと、日本のオタク向けコミックなんかで出て来そうな雰囲気ですかね。「強いロリキャラ」ですし)。
で、こっちもこっちで面白いキャラクターなんですよね。「幼い女の子なのに超強い」というのは、まあ、珍しいものですし、ビジュアル的にも、今までの映画で見た事が無いような新鮮味がありましたしね(「カンフー使いの少年」なんかはたまに見ますけど)。しかも、結構なバイオレンスを見せてきますからねぇ。この子、いったい、劇中で何人殺した事か。

という、2組のヒーローが出てくるわけですけど、これが、「別の物語のキャラがこの映画でクロスオーバーしている」みたいな感じがして、ちょっと面白かったです。と言うのも、先にも書いたように、キックアスが現実的なのに比べて、ニコケイ親子の方は非現実的な存在という事で、世界観の違う二つのキャラが、枠組みを超えて共存してるように見えるんですよね。
これ、多分、本来は同じ世界の住人として見れてないとマズい部分のような気もするんですけど(タイトルロールにもなってるキックアスの方が、映画の雰囲気から浮いてるように見える場面が多かったですし)、まあ、そう見えてしまったのですからしょうがない。おかげで、クロスオーバー映画を見てるような楽しみ方が出来たのだから良しとしましょう。
ただ、キックアスが有名になったきっかけとなった事件において、「暴力と、それを無視する世間が許せない」というような事を言っていたのですが(ここは、キックアスのあまりのカッコ良さに、本気で感動した場面でした)、ニコケイ親子は、超過剰なバイオレンスで悪党共を殺しまくるんですよね。
この親子は、この世界においては「本物のヒーロー」という事になるんですけど(コミックヒーロー並の能力を持っているので)、私には、キックアスの方が「真のヒーロー」のように見えたんですよね。ですが、最終的には、キックアスの方も、この映画で言う所の「本物のヒーロー」の側に行き、強力な重火器で悪党をぶち殺す事になるんです。
まあ、この映画の悪党連中というのも、「アリのようにぶち殺しても構わない」というような描かれ方をされてはいるんですけど、でも、バットマンやスパイダーマンは、例え相手が悪党でも、殺したりはしなかったじゃないですか(「殺しはしないけど助けもしない」とか「事故死はしょうがない」とかはありますけど)。それなのに、そういうヒーローに憧れていたはずの主人公が、ノリノリで殺人に加担するのはどうなんだろう、というのがちょっと気になってしまいました。
とは言え、「殺さなければこっちがやられる」という状況ではありましたし、「あれはコミックの世界だから、悪党を殺さないヒーローが成立するのであって、現実では悪党は殺していかないとこっちが危ない」というのもあるんでしょう。
まあ、本来は、アクション映画なんですから、悪党の無残な死に様を素直に喜んで見るべき所だと思うんですよね。でも、ニコケイ親子のいる世界は、暴力を行使する事に対して違和感ないんですけど、キックアスのいる世界は「誰だか分からないチンピラ風情でも、大勢に殴られている状況にいたら助けてあげなくてはならない」、という道徳的な世界のように思えたんで、最後までキックアスの方はバイオレンスを行使しないままでも良かったんじゃないかな、と思ってしまいました。

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世界はトロンにのみこまれる トロン:レガシー
<TRON:LEGACY>

 総合評価 35点 (50点満点中)

 ◎満足度    ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
 ◎肯定度    ★★★☆☆ (この映画をどれぐらい支持したいと思ったか)
 ◎評価度    ★★★☆☆ (客観的に評価してみる)
 ◎おススメ度  ★★★☆☆ (他の人に勧めても大丈夫そうか)
 ◎スター・ウォーズ度★★★★★ (この映画ならではの評価ポイント)


マスター・ブリッジス <個人的感想>
予告編での雰囲気から、近未来でハイテクなSF映画みたいな感じなのかと思っていたんですけど、どちらかと言うと、『ナルニア』とか『アリス・イン・ワンダーランド』みたいな、ファンタジー映画と同種の面白さのある映画という感じでしたね(主人公が異世界に迷い込んで、そこで冒険を繰り広げて成長して帰ってくる、という流れも一緒ですし)。
実の所、SF映画として見た場合、「この衣装デザインはクールなのかダサいのか」で悩んだり、「この世界観は科学的に考えてどうなんだ」といった疑問、と言うか、気になる点が出てきてしまいかねないところだと思うんですけど、ファンタジーとして見ると、そういう点が気にならなくなるんですよね。
例えば、この映画の主な舞台はコンピューターの中の世界のようなんですけど、『マトリックス』みたいに、思考だけを仮想現実世界に飛ばしてるというわけではなく、本人が実体を伴ったまま、ゲームの中の世界に入り込んでいるという、昔のファミコンマンガ風に言うところの「ドット・チェンジ」的な世界のようなんです。
これは、いくらなんでも現実味が無さ過ぎる設定だと思ってしまいますけど、でも、「タンスの中に剣と魔法の世界が広がっている」というのが全然アリなファンタジー映画のジャンルの中では、十分有り得る、納得の行く設定の世界だと思えてしまいます。
なので、主人公と一緒に、架空の世界(もしくは、夢の世界)を冒険してるような気分になれて、見てて非常に気持ち良かったですね。ただ、今までに無い、特異な世界のせいか、「戸惑い」も同時に感じる事になってしまうんですけど、主人公の方は、見ている私ほど、この世界に戸惑ってないような感じなんですよね。「いくらなんでも、早く順応し過ぎだろう」みたいな。まあ、この主人公も、「全ての面に関して天才」みたいなキャラクターでしたからね(容姿まで整ってやがりますし)。きっと、この異世界の構造から、今自分が置かれている状況まで、すぐに理解してしまえるのでしょう。

さて。その独特の映像美が見所となる映画ですけど、全体的に青暗い中に、オレンジや白の光の筋がそこかしこに輝いているという、実に面白い映像です。何か、宇宙的なものとか、近未来的なものを連想するようなイメージですよね。
父親と息子の愛や絆を描いたストーリーもまあ面白いものでしたけど、やっぱり、この映画の一番のウリであり強みは、この映像美なんだろうと思います。
そして、その映像に奥行きと立体感を与え、さらに迫力を増す為に、3D映画として公開されたわけですけど、映画冒頭にいきなり、「2Dで見る場合に備えて、一部は2Dで撮影してあります」みたいな注意書きが出てきたのには怯みましたね。
多分、現実世界のパートは2Dで、コンピューター世界の中は全編3Dだと思うんですけど、でも、結局、全体的に「このシーンは3Dだからこそ迫力があったな」と感じられたシーンって、少ししか無かった気がするんですよね。もしかしたら、2Dで見ても印象変わらなかったかも。
まあ、そう思うぐらい、「未完成な3D技術で無理に立体感を出そうとしなくても、映像的には十分に面白い」という事でもあるんですけどね。
ただ、正直、単調な映像でもあるんで、さすがに2時間も見ているとちょっと飽きがくるんですけど、その分、現実世界に戻った時に安堵感と感動が増すという効果が出てたんですよね。「面白いアトラクションに乗っていた」みたいな感覚でしょうか。映画に対して、「現実逃避」を求めてる私みたいな奴にとっては、もってこいの内容の映画だったと言えそうです。

あと、もう一個この映画の面白い点として、『スター・ウォーズ』を思い出させる展開が出まくる、というのがあります。もし、はるか昔の遠い銀河系の出来事ではなく、今、この世界で『スター・ウォーズ』の出来事が起こったら、こんな感じの話になるんじゃないかな、みたいな感じの似方でしたね。ジェフ・ブリッジスなんて、完全にジェダイ化してましたし。でも、このジェダイ・ブリッジスが何かやたらカッコイイんですよね。改めて、“ジェダイ”というキャラクターの面白さに感心させられたものでした。

ところで、この映画って、リメイクではなくて、続編映画だったんですね。ずっとリメイクだとばっかり思ってました。
と言うのも、もちろん、私が前の『トロン』を見てないからそんな事を思ってしまってたわけなんですけど、続編なら続編で、タイトルを『トロン2』とかにしてくれれば良かったのに。気取って『レガシー』なんてつけやがって。
リメイクだと、オリジナルを見ていなくても、だいたい、一本の新作映画として楽しめるケースが多いですけど(これまでも、リメイク映画のほとんどをオリジナル未見で見てきましたし)、続編映画となると、前作を見ていないと分からない箇所というのが出てきますからね。『エスケープ・フロム・LA』みたいな続編ならいいですけど、今回の『トロン』は、ちゃんとストーリーの続いた続編らしいですからね。って言うか、ジェフ・ブリッジスって、前作の主人公だったのか(それすら知らんかった・笑)。
もし、続編だと知っていて、今回の『2』を見る前に前作の予習をしていたら、また違った感想になったのかな、なんて思ってしまいます。ただ、それが「より好評価になる」とは限らないんですけどね(笑)。


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